展示会準備を毎回おこなっているものの、商談や受注につながった手応えをあまり感じられない。BtoB企業の展示会では、こうした悩みを抱える担当者は少なくありません。
その背景には、展示会の目的やゴールが曖昧なまま準備が進んでしまっているケースがあります。本記事では、展示会から商談・成約へつなげるための準備ポイントを、時期別に整理して解説します。
目次
展示会準備は「目的から逆算した進め方」が重要
展示会は、BtoBマーケティングにおいて、見込み客と直接コミュニケーションを取れる数少ない機会です。一方で、準備する項目や関係者が多く、進め方を誤ると成果につながりにくい施策でもあります。
成果を出すための展示会準備のポイント
展示会準備というと、ブース制作や資料準備、集客施策など、やるべきタスクの多さに意識が向きがちです。しかし、成果が出ない展示会を振り返ると、準備の量ではなく、展示会の目的やゴールが曖昧なまま進んでいるケースが少なくありません。
展示会後にどんな成果を生み出したいのかを起点に、各タスクやアプローチを設計していくことが、展示会準備で押さえておきたい重要な考え方です。本記事では、この視点をもとに、展示会準備を時期別に整理していきます。
1年〜6か月前|出展方針と判断軸を固める時期
展示会の目的や期待する成果を整理する重要なフェーズです。
- 出展目的と期待する成果を明確にする
- 最終ゴールの目標数値(KPI)を設定する
- 社内体制と意思決定までのフローを決める
- 展示内容の方向性を決める
- 全体スケジュールを策定する
1.出展目的と期待する成果を明確にする
新規リード獲得や商談創出など、「何のために展示会に出展するのか」を明確にします。出展目的を言語化しておくことで、関係者間の認識をそろえやすくなり、実施後の振り返りもしやすくなるためです。
目的や展示内容を整理したうえで、対象業種や開催時期に合った展示会を検討します。展示会情報サイトや業界団体の情報、主催者の公開データなどを参考にしながら、「想定する来場者が集まるか」や「商談につながる接点が得られるか」を判断しましょう。
2.最終ゴールの目標数値(KPI)を設定する
最終ゴールの目標数値を設定し、効果を測れる状態に整理します。来場者数や名刺枚数から逆算してKPIを設計することで、展示会のROIを見据えた準備が可能になります。
展示会の目的設定や効果測定の考え方について、詳しくは「成果の出ない展示会を見直そう!効果計測方法と成功ポイントとは」をご覧ください。
3.社内体制と意思決定までのフローを決める
展示会は、マーケティング・営業・製品開発など、多くの関係者が関わるプロジェクトです。早い段階で社内体制や役割、意思決定のフローを明確にしておくことで、スケジュール遅延や伝達ミスを防ぐことができます。
- プロジェクト全体の責任者(意思決定・最終確認)
- 現場対応のリーダー(当日の設営、ブース運営、営業メンバーとの連携)
- 各制作物の担当者(パンフレット、パネル、動画、LPなど)
- 協力会社との連携窓口
4.展示内容の方向性を決める
展示会では、短い時間で多くの来場者と接点を持ちます。そのため、すべてを伝えようとするのではなく、商談につながるテーマや訴求点を絞り込むことが重要です。
「展示会で何を見せ、どんな体験を提供するのか」という視点で、展示内容の方向性を整理していきましょう。
- 展示製品・サービスの選定
- 新製品の開発・実機準備
- パネルやパンフレットのコンテンツ構成
- デモ動画・LP・資料などのアウトライン作成
5.全体スケジュールを策定する
展示内容の方向性が定まったら、それを「いつまでに、誰が」形にするのかを整理します。制作物や外注対応が増えるため、早い段階で全体スケジュールを可視化しておくことが重要です。
外注先への発注時期も含めてガントチャートを作成しておくと、関係者間の認識をそろえやすくなり、スケジュールの遅延を防ぎやすくなります。展示会の準備リストやスケジュールは「展示会の成功を支える実践テンプレート」にもご用意していますので、ご活用ください。
6か月〜3か月前|ブース制作と体制づくりを進める時期
制作が本格化するこの時期は、ブースのデザインや資料の内容など、細かな判断を重ねる場面が続きます。検討事項や確認者が増える中で、出展目的や方針に立ち返りながら、全体を俯瞰して準備を進めることが重要です。
- ブース設計と施工業者の手配
- 配布物・パンフレット・ノベルティの準備
- 当日スタッフのアサインとタイムスケジュールの作成
1.ブース設計と施工業者の手配
ブースは来場者の立ち寄り率だけでなく、説明や商談のしやすさにも影響します。導線やスペース配分を意識しながら、施工業者と連携して設計を進めましょう。
- ブースゾーニング(受付・展示台・商談席の配置)
- 装飾コンセプト(ブランドカラー・ロゴ表示・キャッチコピー・照明演出)
- 実機展示の有無や配置方法(電源・導線の確認)
- 施工業者の選定と発注、主催者への提出書類の準備
2.配布物・パンフレット・ノベルティの準備
展示会で手渡すパンフレットやノベルティは、来場者の足を止めたり、後の商談につなげる重要なツールです。特にノベルティは、企業や製品の印象を残し、記憶にとどめてもらうための効果的な手段です。
- 製品の強みを整理したパンフレットの構成案作成
- 説明資料やパネル、動画のアウトラインと制作
- ノベルティの仕様決定、納品スケジュールの確認
- 配布物の制作、納期管理
3.当日スタッフのアサインとタイムスケジュールの作成
展示会当日の人員配置とシフト案もこの段階で設計します。誰が声掛けをおこなうのか、誰が説明を担当するのか、どのタイミングで情報を記録するのかなど、役割分担を整理しておきましょう。
- 役割分担の設計(キャッチ係/営業担当など)
- スタッフの名刺発注
- シフト表の作成(昼休憩やセミナー登壇とバッティングしない工夫)
- 外部人材の手配(通訳や初期ヒアリングを担えるスタッフなど)
ブースの広さや想定来場者数によって、必要な人数は異なります。自部署で対応しきれないなど、他部署からのヘルプが必要な場合は、早めの打診と確保も重要です。また、交通・宿泊の手配も忘れずにおこないましょう。
3か月〜1か月前|集客と現場準備を具体化する時期
集客と現場準備が同時に進む時期です。来場者数だけをゴールにせず、当日の対応や会期後のフォローまでを見据えて準備を進めましょう。
- 展示会への来場を促すための集客施策
- 来場者情報の記録・共有フローの設計
- 会期後のマーケティング・営業活動の設計
1.展示会への来場を促すための集客施策
展示会は、同じターゲットを狙う企業が集まる競争の場ともいえます。自社ブースに足を運んでもらうには、目的を伝え、来場のメリットを感じてもらえる集客施策が不可欠です。
展示会出展の案内送付(招待状・Eメール・電話等)
営業接点のある企業には個別にアプローチし、来場予約やアポイント獲得につなげましょう。既存の見込み客へメール配信する際は、展示内容やブースの位置を案内するとよいでしょう。
Web広告やSNSでの情報発信
広告やSNS投稿による出展告知も有効です。自社の出展目的や展示内容を簡潔にまとめた特設ページ(LP)を用意してもよいでしょう。
単発の連絡ではなく、「開催前リマインド→開催当日→お礼+フォロー」までの流れを設計しておくと、来場者の記憶にも残りやすくなります。
集客施策の考え方や当日の具体例について、詳しくは「展示会集客を増やす7つのアイデア・失敗しないための事前対策とは」をご覧ください。
2.来場者情報の記録・共有フローの設計
展示会で得た情報は、会期後のフォローにつながる重要な資産です。名刺管理方法、会話内容や興味の度合いなど記録の粒度、引き継ぎ方法を事前に決めておくことで、フォローの優先順位をつけやすくなります。
- 名刺や情報の記録方法(読み取りアプリ/スプレッドシートなど)
- ヒアリング項目のテンプレート化(ニーズ、製品認知度、決裁権など)
- 情報入力のルールとタイミング
- 当日回収情報の格納先(CRMやMAツールと連携検討)
3.会期後のマーケティング・営業活動の設計
あわせて、展示会で取得した情報をもとに、会期後にどのようなマーケティング・営業活動をおこなうかも、この時点で整理しておきましょう。フォロー内容や優先順位を見据えて設計しておくことで、記録すべき情報やデータ形式も明確になります。
展示会後のフォロー設計やCRM・MAツールを活用した具体的な進め方については、「展示会後のフォローで商談を増やすには?CRM・MAを活用したリード管理と育成の実践ポイント」の記事で詳しく解説しています。
関連記事:CRM(顧客関係管理)とは?機能や導入メリット、活用方法をわかりやすく解説
1か月前〜会期当日|成果を取りこぼさないための最終準備
これまで整理してきた方針やタスクを、現場で迷わず運用できる状態に整えるフェーズです。当日の対応が出展目的とずれていないかを最終確認します。
- 当日の役割分担と対応フローを再確認する
- 製品紹介のポイントや初期ヒアリング項目をそろえる
1.当日の役割分担と対応フローを再確認する
展示会当日は、限られた時間の中で多くの来場者に対応します。誰がどの役割を担うのか、どの場面で判断するのかを事前に共有しておくことが重要です。
- キャッチ担当が通行中の来場者に声をかけ、自社ブースへ誘導
- 営業担当がブース内で製品を紹介し、来場者の課題をヒアリング
- 興味を持った来場者と商談アポイントを獲得
2.製品紹介のポイントや初期ヒアリング項目をそろえる
展示会場での対応品質は、商談化率に大きく影響します。複数スタッフで来場者対応をおこなうため、必ず伝えたい製品紹介のポイントは何かを共有しておきましょう。来場者に伝わる印象も安定し、次のアクションにつながりやすくなります。
また、初期ヒアリングで聞く項目を「予算・決裁権・時期・ニーズ(BANT情報)」と定めたり、取得した情報の記録方法や、会期後どのようにつなげるかも最終確認しましょう。
来場者の記録や当日の営業体制の考え方について、詳しくは「展示会で商談につながるリードを獲得するには?ブースの営業体制、情報連携が成功のカギ」をご覧ください。
会期後|次につなげるためのフォローと振り返り
展示会は会期後の対応によって成果が大きく変わります。一方で、すぐに商談に進まない見込み客も少なくありません。興味関心や検討段階に応じたフォローをおこない、次回に活かせる改善点を整理しましょう。
- 早めのお礼連絡と初動フォローをおこなう
- 獲得した情報を整理し関係者で共有する
- 展示会全体を振り返り、次回に活かす
1.早めのお礼連絡と初動フォローをおこなう
展示会後は、来場時の記憶が新しいうちに接点を持つことで、その後のコミュニケーションにつなげやすくなります。展示会で名刺をいただいた日の翌営業日の午前中までに、お礼メールを送信することが望ましいです。
2.獲得した情報を整理し関係者で共有する
展示会で得た情報は、営業やマーケティングにとって重要な資産です。名刺情報だけでなく、会話内容や興味の度合いなども含めて整理し、関係者間で共有します。
ニーズや製品への興味が高い来場者は、営業やインサイドセールスのフォロー、まだ関心や検討が低い来場者へはマーケティング部署から、課題を顕在化させるウェビナーや事例の案内など、ナーチャリング施策を進めるとよいでしょう。
3.展示会全体を振り返り、次回に活かす
最後に、展示会全体を振り返ります。目標数値に対して、どのプロセスがうまくいったのか、どこに改善の余地があるのかを整理しましょう。
当日ブースへの立ち寄りや商談獲得はどうだったか、展示内容への反響はどうだったのか、集めた名刺や来場者情報は、会期後のフォローに活用できたのか、次回に向けて1つでも見直しポイントを見つけることが大切です。
展示会は、準備や検討事項が多い施策ですが、ひとつひとつを見直していくことで、BtoBマーケティングにとって非常に有益な取り組みになります。
展示会準備や運用を進めるうえでのヒントは、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
展示会で成果を上げるためには、出展を重ねるほど慣例化しがちな準備を、目的から見直すことが重要です。展示会の先にどんな成果を生み出したいのかを起点に準備を設計することで、各時期の判断に一貫性が生まれます。
私たちタービン・インタラクティブでは、展示会の企画設計から出展後のフォローまでを支援しています。展示会の成果に課題を感じている場合は、お気軽にお問い合わせください。