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【宮古島・パーントゥ】大雨でも止まらない熱気!泥と笑いに包まれる伝統行事へ行ってきた

10月後半
毎年この時期になると、宮古島の集落が独特の熱気に包まれます。
国の重要無形民俗文化財「パーントゥ」が行われる日。
今年もその現場に足を運び、雨の中でも多くの人が集まる“あの空気”を体感してきました。

泥と笑い声と緊張が入り混じる、宮古島ならではの2日間。
その初日の様子をレポートします。

目次

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空気がざわつく、祭りのはじまり

会場に着くと、すでに子どもから大人まで多くの人が待機していました。
強い雨が降っているにもかかわらず、みんな「まだ?」「どこから来るの?」とそわそわ。
パーントゥが姿を現す前から、すでに“来るぞ”という空気が漂っています。

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泥だらけのパーントゥが現れる瞬間

突然、ざわめきとともにパーントゥが登場。
全身泥まみれの姿が近づくたびに、子どもたちの悲鳴声が響き、それを見て大人たちが笑いながら逃げる——そんな独特の光景が広がります。

大雨の中、泥と雨が混ざった迫力は、本や写真では伝わらない“生”の体験そのもの。
近くで見ると、想像していた以上にスピード感があり、迫ってくる圧に思わず後ずさりしてしまいました。

印象的だったのは、子どもの悲鳴と大人の笑い声が混ざり合う不思議な空気。
逃げる人、写真を撮る人、あえて泥をもらいに行く人——それぞれの楽しみ方があるのが、この行事の魅力だと感じました。

雨でずぶ濡れになりながらも、みんなの表情は明るく、この祭りへの愛着やワクワク感が伝わってきます。

 

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パーントゥが“来る理由”

パーントゥは、宮古島・島尻集落に古くから伝わる来訪神行事で、
“外から福を運び、悪いものを払いのける神様”として人々から敬われてきました。

全身にまとった泥には、古くから 「清め」「厄払い」 の意味があります。
その泥を家々や人に塗りつけることで、「病気や災いから守られ、今年も平穏に暮らせますように」という願いが込められています。

実はパーントゥは、毎年の開催日程が公式には公開されません。
これは、行事そのものが“観光向けのイベント”ではなく、集落の生活のリズムの中で受け継がれてきた信仰儀礼だからです。

外部から人が訪れるのは歓迎しつつも、過度な混雑やトラブルを避け、地元の人たちが昔と同じように祈りを捧げられるよう、いまも「地域本来の姿」を守るために非公開の慣習が続いています。

実際に現地で体験すると、子どもの悲鳴と大人の笑い声が交じり合うあの独特の空気の中に、“守り続けたい文化”としての緊張感と温かさの両方を感じます。

厄払いの儀式でありながら、参加する人それぞれが自由に楽しみ、受け取る意味も少しずつ違う。
そこがパーントゥの大きな魅力であり、多くの人を惹きつけ続ける理由でもあるのだと思います。

 

まとめ

大雨の中でも、パーントゥを見に集まる人たち。
悲鳴と笑いが混じり合う独特の雰囲気は、とても印象的な体験です。

二日間行われるパーントゥのうち、今回は初日に参加しましたが、天候さえ忘れるほどの迫力と熱気を全身で感じられる、強烈に記憶に残る時間でした。

来年も、現地の空気感をそのまま皆さまにお伝えできるよう、引き続きレポートしてまいります。