コーポレートサイトは、企業の基本情報だけでなく企業の価値を発信する場です。顧客から求職者まで自社に関心を持つさまざまなステークホルダーが訪れるため、ブランディングやマーケティングを意識した設計で自社を効果的にアピールしましょう。
本記事では、コーポレートサイトの役割、成果につながる設計や運用方法について、わかりやすく解説します。
目次
コーポレートサイトとは?企業の成長に必要な理由
コーポレートサイトは企業のマーケティング基盤
コーポレートサイトは、企業の活動や価値を伝える「企業の公式情報を発信するWebサイト」です。会社概要や事業内容、製品情報、採用情報などを掲載します。
いまや企業の営業活動においてデジタルマーケティングは欠かせません。その基盤となるのがコーポレートサイトです。
たとえば、企業名で検索したときに多くの人が最初に訪れるのがコーポレートサイトです。特にBtoB企業では、訪問者の多くが見込み客や取引先、株主、求職者など、いずれもビジネスに直結する重要なステークホルダーです。その最初の接点となる場が「企業情報を置くだけのサイト」では、大きな機会を逃してしまいます。
コーポレートサイトの主な目的は次の3つです。
- 企業のブランド認知や信頼性を高める
- 見込み客との接点を増やし、商談やお問い合わせにつなげる
- 求職者に企業の魅力を伝え、応募意欲を高める
企業の価値を発信し、関係者との信頼関係を築く戦略的なプラットフォームであることを十分意識し、「成果につながるコーポレートサイト」を目指しましょう。
コーポレートサイトのターゲット
コーポレートサイトのもうひとつの特徴は「対象とするターゲットの幅広さ」にあります。
ターゲットについてお話しする前に、ひとつ整理しておきたいのが「ターゲット」と「ステークホルダー」の違いです。
コーポレートサイトを訪れるステークホルダーは「企業に関わる利害関係者すべて(株主、既存顧客、取引先、従業員、メディアなど)」です。一方、ターゲットとは「サイトを通じて成果を生み出したい主な相手(見込み客や求職者など)」を指します。
訪れるステークホルダーのニーズは、さまざまです。コーポレートサイトで優先すべきターゲットが「何を求めているか」「どんな情報を必要としているか」を理解し、そのニーズに応える構成や導線、コンテンツ設計を整えることが、成果につながる第一歩です。
では、どのターゲットを優先すべきでしょうか。次に説明する「コーポレートサイトの役割」から判断するとよいでしょう。
コーポレートサイトの重要な3つの役割
前章でコーポレートサイトの目的をお伝えしましたが、それに対応する役割も大きく3つに分類されます。大まかにいえば、「ブランディング」「営業(リード獲得)」「採用活動」です。それぞれの役割について詳しく解説します。
企業の信頼を築くブランディングの役割
1つ目の役割が「ブランディング」です。
BtoBでは、企業そのものへの信頼が受注や選定の大きな後押しになります。「安心して任せられる企業かどうか」は、製品やサービスの品質だけでなく、企業としての価値からも判断されます。
BtoB企業がTVCMや屋外広告などのマス広告を活用するのも、まさにこのためです。一般には名前が知られていない技術や製品であっても、「社会や産業を支えている存在であること」を広く伝えることで、企業ブランド全体の価値を引き上げることができます。これにより、ニーズが顕在化した時に「相談したい企業」として思い出してもらうこともできるのです。
製品やサービスについてWebサイトを閲覧する場面を、少し想像してみてください。まずは企業概要や製品の基本情報を確認すると思いますが、それだけでは企業の印象はなかなか決まりませんよね。
もし、企業が掲げたミッションや実績、製品・サービスで解決される価値が、しっかり言葉で表現されていたらどうでしょうか。さらに、ビジュアルやデザインによって企業の世界観が表現されていたら、どんな企業か、信頼できそうか、自然とイメージが広がるのではないでしょうか。
コーポレートサイトでは「企業として提供する価値の約束」をわかりやすく伝えていくことが大切です。競合と比較された際も、この「自社らしさや強み」がしっかりと伝わるように設計し、共感や信頼を少しずつ築いていきましょう。
関連記事:ブランディングを強化しろ!と言われたら~BtoBブランドの始め方~
見込み客との接点をつくる営業(リード獲得)の役割
2つ目の役割は「営業(リードの獲得)」です。
BtoB企業の新たな取引先検討の段階では、顧客が営業担当と会う前に、Web上での情報収集や比較検討を済ませるのがスタンダードになりつつあります。その検討材料となるのがコーポレートサイトです。
つまり、コーポレートサイトは見込み客の関心を引き、将来的な商談につなげる「非対面営業の役割」を担っているわけです。
24時間365日対応してくれる営業マン、ともいえるコーポレートサイト。だからこそ、訪問した見込み客にとって、製品やサービスの情報がわかりやすく整理されていることが大切です。
ウェビナーなどの課題解決情報、製品資料などのダウンロードコンテンツ、お問い合わせフォームの使いやすさなど、見込み客のニーズと行動を想定した導線とコンテンツをしっかりと設計することが、成果につなげるポイントです。
なお、会社の規模が大きく、製品やサービスが多岐にわたる場合など、コーポレートサイトですべてをカバーしきれないケースもあります。そこで有効な手法が「サービスサイト」です。
次に、コーポレートサイトとサービスサイトの役割分担について解説します。
関連記事:リード獲得とは?BtoBで見込み客を増やす効果的な施策の選び方
コーポレートサイトとサービスサイトの違い
サービスサイトとは、特定の製品・サービスの特徴や詳細な機能を紹介するWebサイトの総称で、お問い合わせや資料請求などのリード獲得やコンバージョンにつなげます。
コーポレートサイトもリード獲得を目的に含みますが、ステークホルダー全体に向けた情報発信が前提となるため、製品情報への特化が難しい面もあるでしょう。複数の製品を展開していたり、複雑なサービスを取り扱う場合などはコーポレートサイトとは別にサービスサイトを開設するのがおすすめです。
関連記事:サービスサイトとは?制作が必要な企業の特徴と成果を出す基本構成を解説
優秀な人材を引きつける採用強化の役割
3つ目の役割は「採用活動」です。
BtoB企業は、一般向けの知名度が高くないことが多いため、コーポレートサイトを通じて企業の存在や魅力を知ってもらうことが、優秀な人材確保の出発点となります。
求職者の多くは、まず求人広告サイトなどで条件の合致する企業を絞り込んだあと、コーポレートサイトを訪問します。そこで企業の強みや特徴を把握し、さらに採用情報ページで「ここで働きたいと思えるか」「自分に合った仕事があるか」などを具体的に確認します。
このとき、会社の雰囲気や働く環境が伝わらなかったり、魅力が十分に感じられなかったりすると、応募につながらないこともあります。
そのため採用情報ページには、募集要項や応募条件だけでなく、社員インタビューや働き方、社内の雰囲気が伝わる写真・コンテンツなど、「働く姿をイメージできる情報」を充実させることも重要です。
独立した採用サイトを展開している場合も、コーポレートサイトからスムーズに遷移できる導線を設計しておきましょう。
関連記事:採用サイトは必要?メリットと効果を高めるコンテンツと運用ポイントを事例つきで解説
成果を出すコーポレートサイトのコンテンツ設計
前述のとおり、コーポレートサイトはターゲット層が幅広く、掲載すべきコンテンツも多岐にわたります。ここでは、大手企業のコーポレートサイトに見られるコンテンツを一覧にまとめました。
コンテンツ一覧からも、ターゲットや内容の幅広さがわかりますね。
次に、それぞれの役割やポイントを解説しますので、自社にはどのようなコンテンツが必要か確認していきましょう。
会社情報
すべてのステークホルダーにむけて、企業の基本情報や存在意義を伝える必須コンテンツです。一般的に、企業概要、企業の歩み、企業理念、ビジョンなどの基本情報や代表メッセージを掲載します。
製品情報
自社の製品やサービスについてのコンテンツです。見込み客だけでなくすべてのステークホルダーに向けて発信することが一般的です。
また、製品やサービスの特徴だけでなく、導入メリットや活用シーンも併せて紹介することもおすすめです。導入事例や資料請求など、つぎに理解を深めるコンテンツへと進みやすいように導線を設計しましょう。
自社の強み
製品やサービスの優位性を裏付ける強みを伝えるコンテンツです。「なぜ自社を選ぶべきか」を明確に伝えられることで、非対面営業としての役割を大きく果たします。
製品紹介などで触れることもできますが、情報が埋もれてしまう懸念もあります。競合との差別化をわかりやすく伝えるためにも「自社の強み」を独立したコンテンツとして整理・訴求しましょう。
参考:タービンの強み / 株式会社タービン・インタラクティブ
導入事例
まだ使ったことのない製品やサービスの説明は、説明を読んだだけでは自社に適しているかどうか判断が難しい場合があります。導入した企業の事例や活用事例を紹介し、実際の顧客の声や定量的な効果を伝えることで、導入後のイメージがつきやすくなり検討がすすみますし、潜在的な顧客の関心も高めます。業種別や課題別などさまざまなケースを用意し、見込み客が自分にあった事例を見つけられるようにするとさらに効果的です。
参考:サービス活用事例 / 株式会社タービン・インタラクティブ
株主・投資家情報(IR情報)
主に、株主や投資家に向けて、企業の経営状況や方針、財務情報などを伝えるコンテンツです。経営戦略や中期経営計画、決算情報、株主総会関連資料、IRニュースなどを適切なタイミングと形式で提供し、企業の健全性や将来性への理解と信頼を高めます。
またこの情報は、投資家だけでなく、従業員や求職者、取引先などにも広く見られるため、採用広報やブランディングの観点でも重要です。
上場企業では、IR情報の開示が「金融商品取引法」などにより義務づけられており、掲載内容にも一定の基準があります。日興アイ・アールが毎年発表する『全上場企業ホームページ充実度ランキング』は、IRページの見直し時に参考になる指標です。
この調査では、全上場企業を対象に「分かりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」の3つの観点から168項目で客観的に評価されています(デザインなどの主観評価は含まれません)。当社では、最優秀サイトとして評価されたIRサイトの設計・制作実績もございます。IR情報の充実と運用性を両立した設計についても、お気軽にご相談ください。
ニュースリリース
最新情報や企業の活動をタイムリーに発信するコンテンツです。新製品の発表、業務提携、イベント開催などのトピックスを掲載し、報道関係者や取引先、見込み客へ向けて伝えます。またウェビナー開催や展示会出展などのマーケティング活動もこれに含めてよいでしょう。
情報が多い場合は、カテゴリーや製品別に分けるとユーザーが情報にアクセスしやすくなります。
お問い合わせ
お問い合わせページは、見込み客がアクションを起こすための重要な導線です。トップページや製品紹介ページなど、主要な導線から視認性の高い場所にリンクを設置する、ボタンの文言やデザインに工夫を凝らすなど、「見つけやすさ」の配慮が欠かせません。
あわせて、入力項目の最適化や完了までのステップを簡潔にすることで、アクションのハードルを下げましょう。
関連記事:BtoBサイトで問い合わせ数を増やすには?成果が出る改善ポイント
採用情報
コーポレートサイト内にありますが、求職者をメインターゲットとした重要なコンテンツです。募集職種や求める人材像に加え、社員インタビューや1日の業務紹介など、求職者が「自社で働くイメージ」を持てるコンテンツを充実させましょう。
独立した採用サイトを設ける場合も、コーポレートサイトからスムーズに遷移できる設計が重要です。
コーポレートサイトを効果的に運用するためのツール活用
コーポレートサイトを営業(リード獲得)として活用するためには、「運用フェーズ」でいかに情報発信や改善を継続できるかが重要です。そこで役立つのが、運用を効率化するデジタルツールです。
たとえばCMS(コンテンツ管理システム)は、コンテンツの更新を容易にし、鮮度のある情報発信を支えます。CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)は、見込み客との接点を増やし、育成し、成果につなげるプロセスを支援するなど、BtoB企業のコーポレートサイト運用において重要な役割を果たします。
2024年に実施された国内のデジタルマーケティング市場調査では、MAおよびCRMは大手企業にとどまらず、中小企業にも広がっており、地方企業でもツール活用が進んでいます。
コーポレートサイトは「作って終わり」ではなく、「継続的に改善し、成果を生み出す運用体制」が成果の分かれ目ともなるため、上手にツールを活用していきましょう。
デジタルマーケティング市場規模推移(予測)
出典:デジタルマーケティング市場に関する調査(2024年)矢野経済研究所
CMS(コンテンツ管理システム)の活用
CMSは、Webサイト内のコンテンツ更新を簡単かつ効率的におこなうためのツールです。
たとえば、HubSpotやWordPressなどのCMSを導入することで、ニュースやブログ記事、新製品情報などが、専門的なスキルがなくても、担当者自身で簡単に更新できるようになります。
マーケティング担当者をはじめ、社内の各担当が迅速に情報を発信できることで、コンテンツの鮮度や量を維持することができます。日々の更新体制を整えるうえでも、CMSの導入は非常に有効です。
CRM(顧客関係管理)の活用
CRMは、顧客や見込み客の情報を一元管理し、営業やマーケティング活動に活用できるツールです。過去のお問い合わせ履歴や接点のあったリード・顧客情報を部門間で共有することで、組織全体での顧客対応の質とスピードの向上に役立ちます。
コーポレートサイトには多様なユーザーが訪れるため、CRMを活用して情報を整理・活用できる状態を整えておくことで、部門間の連携をスムーズにし、ビジネス成果につながります。
関連記事:CRM(顧客関係管理)とは?機能や導入メリット、活用方法をわかりやすく解説
MA(マーケティングオートメーション)の活用
MAは、見込み客や顧客の行動履歴に基づき、個々のニーズやタイミングに合わせた最適なコミュニケーションやアクションを自動化できるツールです。
たとえば、製品資料をダウンロードした見込み客にフォローアップメールを自動送信したり、ウェビナーの参加者に補足資料や録画リンクを送ることも可能です。
手作業ではフォローしきれない顧客接点も、MAを活用すれば効率的に対応できます。見込み客を育成しながら、商談の機会を逃すことなく、コーポレートサイトが「営業起点」として効率的に機能する仕組みを作ることができます。
コーポレートサイトの制作やリニューアルは、企業のブランド価値を高め、マーケティングの基盤を強化するための重要なプロジェクトです。Webサイト制作の詳しいスケジュールや進め方のポイントは、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
コーポレートサイトは、単なる会社紹介ではなく、営業(リード獲得)やブランディングの基盤として、企業の成果を支える重要な役割を担います。「誰に、何を、どう伝えるか」の視点で、目的に沿った構成とコンテンツ設計が大切です。
また公開後は、サイトの反応や成果を定期的に確認し、必要に応じて見直しや改善を重ねることで、より効果的なサイトへと育てていくことができます。
こうした運用を通じて、コーポレートサイトは企業の成果を支える“資産”としての価値を持つようになります。手間と時間はかかりますが、企業にとって今や欠かせない存在です。
私たちタービン・インタラクティブは、マーケティング戦略の立案からサイト制作、CRMやマーケティングオートメーションの導入支援まで、多数の実績があります。コーポレートサイト制作をご検討の際は、ぜひお気軽に、お問い合わせください。
「自社の本質的な課題は何か、何を解決するべきなのか」「どこから依頼すべきか」といった段階からのご相談も大歓迎です。
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