第33回:つぶやく人々、つぶやく企業

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年1月21日

「What are you doing?」

この「今何してる?」という問いかけに140文字以内で答えることで、ユーザーの状況や気持ちを蓄積・共有する「ツイッター」。2010年正月、ついに、鳩山首相が「つぶやき」はじめました。

@hatoyamayukioは「1日最低1ツイート」を守って運用されています。現在のところ、約18万人にフォローされている鳩山首相は、ご自身も国民のツイートにフォローを返す方針。専用のディスプレイで18万人の「つぶやき」が表示されることになるのだそうです。本当だとしたらちょっと大変な気もしますが、この仕掛けをアナウンスすることで首相と国民の距離が一気に縮まったイメージが醸成されました。コスト対効果を考えれば凄いことだと思いませんか?

ツイッターは、ブログやSNSに近い、ソーシャルメディアの1つといえますが、従来のサービスとは性格が異なります。

1.投稿後すぐに共有されるリアルタイム性
2.登録の必要がない、オープンな場
3.カジュアルでフランクなやりとり
4.短時間でシンプルな操作
5.完全無料のプラットフォーム

といったメリットと、独特の「ゆるい感じ」がツイッターの魅力。

興味をもつ人たちの、大量の「つぶやき」を斜め読みすることで、流れを把握。必要のないものをどんどんスルーしながら、必要な情報を取得するのが、トレンドになっています。企業としては、自社のアカウントをそのリストに入れてもらい、ユーザーとコミュニケーションできる場にしたいものです。

企業に向けられた「つぶやき」にお返事を差し上げれば、フォローしている他のユーザーからも見られ、リアルタイムのFAQとして活用が可能です。ツイッター内を検索すれば、自社に関する「つぶやき」を調査でき、マーケティングに活用できます。そのユーザーに積極的にメッセージを送ってファン形成を促すことも可能でしょう。

また、短時間で即効性のあるキャンペーンの告知や受付にも有効です。店舗に足を運んでもらうための、リアルタイムなインセンティブを発信するのにも効果的です。他にも色々アイディアは出てきそうですが、今までの広報や販促をそのまま持ってきただけでは、効果は低いかもしれません。

従来の企業広報とは考え方を切り替えて、ユーザー目線で「新しく、面白い」ダイレクトな情報交流のできるチームを編成して実験してみてはいかがでしょう?

無料サービスですから、まずは個人で始めてみることをお勧めします。よろしければ私のアカウント(@turbine432)をフォローしてください。企業活用のために便利な、周辺サービスなども紹介したいと思います。

(2010/01/20 中部経済新聞掲載)

第32回:PDCAが回らないわけ

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年1月14日

「PDCAを回して、成果につなげましょう。」

Webマスターや宣伝・広報セクションの方であれば、耳にタコかもしれません。Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)のサイクルを循環させることで、螺旋状に継続的な業務改善をする。データを基に現状を評価・改善しやすい「Webサイト運営業務」と親和性が高いこともあり、企業Web戦略の基本と考えられるようになっています。

しかしながら「当社のWeb運営ではPDCAサイクルが上手く回っています。」と胸を張るご担当者には、なかなかお会いできません。実際には、ほとんどの企業が、悩みながらも成り行きまかせの運用をしているのです。
理由としては、
1.なにを効果指標として追跡すればよいのかわからない。
2.解析されたデータが何を意味するのかわからない。
3.対策に関するアイディアが出ない。
といった技術的な問題、
A.構築期に比べ、運用期には十分な時間が確保できない。
B.運用期に必要な更新・変更予算が確保できない。
といった社内事情が複合していることが多いようです。

話が少々それますが、私は最近、スポーツクラブで「パーソナルトレーナー」にサポートをしてもらっています。自分の専属トレーナーとトレーニングメニューの実行や食行動の管理などを共有しながら、ダイエットと体づくりという課題解決を目指すのですが、思った以上に効果が高いことに驚いています。

単調なトレーニングと食事制限。自分ひとりでは方法に確信も持てず、きっと続かなかったでしょう。しかし、誰かがぴったり横についてペースメーカーとなり、先を照らしてくれていたらどうでしょう?辛さを乗り越え成功を分かち合いたい気持ちと安心感で、今なお新鮮なモチベーションが保たれています。

さて、Web担当者の業務に話を戻しましょう。Web解析により評価をし、改善アイディアを出し実作業を進めるためのスキルは、マーケティングやデザイン、ユーザビリティや行動分析など多岐に渡り、一人の担当者が全てをこなせるわけではありません。必要なスキルを持ったスタッフを集め、企業の戦略として意識を共有・統一するのも大変な作業。重要でありながら自分ひとりではなかなかやり通すことができないものです。

そんな時に活用したいのが、Web業界のプロフェッショナル。彼らを制作・更新業者としてではなく、「課題を共有し、成功を分かち合うパーソナルトレーナー」として考えてみてはいかがでしょう。多彩な業務をパワフルにサポートできる「専属トレーナー」を見つけ、ペースメーカーを依頼できれば、社内のPDCAサイクル構築に大きく貢献してくれるはずです。

(2010/01/13 中部経済新聞掲載)

ページの先頭へ