営業活動の効率化や品質向上を目指すために話題に上がる「営業DX」。しかし、どのように進めればよいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか?
今回は、属人化を解消する営業DXのポイントと、HubSpotを活用した実践方法を、基礎から応用まで詳しく解説いたします。
目次
本記事は、2024年10月22日ウェビナーで配信した内容をもとに記事化しております。
動画でご視聴されたい方向けに、本ウェビナーのアーカイブ動画もご用意しておりますので、ぜひご視聴ください。
営業DXとは?
営業DXとは、ひとことで言えば「営業プロセスにデジタル技術を導入し、営業活動をより効率的かつ戦略的に進めていくための変革」です。
見込み客の行動がオンラインへとシフトし、デジタルマーケティングが当たり前となった今、Webサイトからお問い合わせを獲得できても、その後の営業プロセスに課題を抱える企業は少なくありません。せっかくの商談機会を活かしきれずに終わってしまうケースも多く見受けられます。
その鍵となるのが、営業プロセスを見える化・標準化し、効率化を図る「営業DX」です。まずは現状の営業フローを見直し、自社の状況に合った領域からデジタル化を進めることが大切です。
営業現場のよくある課題
多くの営業現場で課題になっているのが「属人化」です。名刺情報や見込み客との商談情報が各営業担当者の手元にとどまり、情報がチーム内で共有されない。進捗状況が見えず、引き継ぎも難しい。こうした属人化が組織全体の生産性を下げ、新人の育成やパフォーマンス向上を阻む原因にもなっています。
関連記事:成果が出ない理由はここだ!自社マーケティング活動の落とし穴と解決法
営業DXで得られる効果
営業DXの推進は「営業の属人化」など、現場でよく見られる課題の解決に直結します。ここでは、特に大きな3つの効果をご紹介しましょう。
1.業務効率の向上と営業リソースの最適配分
営業プロセスを一元管理し、作業の自動化を進めることで、営業担当者の手作業が大幅に削減されます。これにより、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
2.顧客情報の一元化によるチーム連携の強化
顧客情報や営業ノウハウをチーム全体で共有することで、属人化の問題を解消します。結果として、誰が担当しても一定の品質で営業活動が行える体制が整います。
3.データドリブンな営業活動の実現
商談の進捗や成果データをリアルタイムで可視化・分析することで、客観的な情報に基づいた意思決定が可能になります。
このように、営業DXを推進することで情報が一元管理され、データに基づいた根拠ある営業活動が可能になります。結果として、営業の質とスピードが高まり、組織としての営業力が底上げされていくのです。
営業DXの進め方:3つのステップ
営業DXをどう進めればよいのか、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。ここでは、営業DX推進の基本となる3つのステップをご紹介します。
STEP1. 顧客データや営業フローを一元管理
まず重要なのは、顧客データや商談の進捗状況をチームで共有できる環境を整えることです。これにより、属人化の解消だけでなく、チーム内での連携がスムーズになります。
STEP2. データを活用した営業プロセスの最適化
次に、共有されたデータを活用して営業プロセスを最適化します。たとえば、営業メールのテンプレート化、活動の可視化、定型業務の自動化などにより、営業効率が大きく向上します。
STEP3. データ分析・営業戦略の立案・実行
最後に、蓄積されたデータを分析し、営業戦略を立案・実行していきます。これにより、成果の最大化と継続的な改善が可能になります。
営業DXにおけるツール選びのポイント
営業DXを実現するにはデジタルツールが不可欠ですが、重要なのは「自社に合ったツールを選ぶこと」です。高機能なツールをいきなり導入しても、使いこなせなければ意味がありません。
営業DXの代表的なデジタルツール
営業DXを支える代表的なツールとして以下があります。
1.CRM(顧客関係管理システム)
顧客情報を一元管理し、営業活動の見える化と効率化を支援
2.SFA(営業支援システム)
商談の進捗管理や営業プロセスを標準化・自動化し、属人化を防ぐ
3.オンライン商談支援
非対面での営業活動を支援。資料送付、商談履歴、打ち合わせ録画など
4.電子契約・書類管理
受注後の契約・帳票業務をオンラインで完結
5.MA(マーケティングオートメーション)
見込み客の育成やフォローを自動化
HubSpotをおすすめする理由
当社では、営業DXを広い範囲でカバーするHubSpotの導入を数多くご支援しています。HubSpotを営業DXツールとしておすすめする理由は、大きく4つあります。
1.企業の規模や成長段階に応じたプランが豊富
まず1つ目は、組織の規模や目的に応じて柔軟に導入できることです。
スタートアップから中堅・大手企業まで、幅広いプランが用意されており、自社のフェーズに合った形でスタートできます。導入のハードルが低く、初期から運用にフィットさせやすいのが特徴です。
2.必要に応じて機能の追加・拡張が可能
2つ目は、あとから必要な機能を段階的に拡張できる柔軟性です。
たとえば、最初は基本機能だけで始めて、組織の成長や活用度に応じて、より高度な機能を追加していくことができます。この拡張が、複雑な開発を必要とせず簡単にできるのも大きな利点です。
3.無料プランでお試しできるため、導入リスクが低い
3つ目は、無料プランから導入できる点です。
CRMをはじめとした基本的な機能をコストをかけずに試せるため、「まずは使ってみたい」という企業にとって非常に導入しやすくなっています。
関連記事:HubSpotは何ができる?初心者の「使いづらい?」を解決する3つのポイント
4.直感的なUIと操作性で、業務活用がスムーズ
4つ目は、直感的なインターフェースで使いやすい点です。ITツールに不慣れな方やマニュアルを熟読する時間がない忙しい営業担当者でも、スムーズに操作できます。
日々の営業活動に必要な機能が揃っているため、導入直後から営業活動のデジタル化・効率化にすぐ活用できます。
中でもHubSpot Sales Hubは、SFA(営業支援)領域に特化したツールで、段階的な成長にも対応できるツールとして、営業DXの第一歩に非常におすすめです。
今回は、このHubSpot Sales Hub導入で実現する「営業DX」をご紹介します。
HubSpot Sales Hubの活用法(基礎編)
HubSpot Sales Hubには、営業活動の効率化と可視化を支援するための基本機能が揃っています。ここでは、その中でも営業DXの第一歩として特に効果の高い6つの機能を取り上げ、それぞれの役割と活用シーンをご紹介します。
CRM(顧客関係管理)
営業における基本は「顧客を知ること」です。しかし、多くの企業では名刺管理や過去の対応履歴がバラバラに存在し、属人化が進んでしまっているケースが見られます。Sales Hubの顧客管理機能を使えば、見込み客や既存顧客の情報を一元的に管理でき、営業チーム全員がリアルタイムで同じ情報にアクセスできます。
出典:HubSpot
これにより「誰が・いつ・何を話したか」が明確になり、引き継ぎや連携もスムーズになります。属人化を防ぎ、チームとしての一貫した営業活動を実現する基盤となります。
関連記事:CRM(顧客関係管理)とは?機能や導入メリット、活用方法をわかりやすく解説
ミーティングリンク
日程調整は営業担当者の大きな負担のひとつです。何度もメールをやりとりしてスケジュールを合わせるのは時間と労力を要します。Sales Hubのミーティングリンク機能では、営業側の空き時間を自動で表示し、顧客は都合のよい時間を選ぶだけで予約が確定します。
この機能により、アポ調整にかかる手間が大幅に削減され、本来注力すべき商談準備や提案業務に時間を割けるようになります。
取引パイプライン
商談のステータスが不明確だと、優先順位を誤ったり、対応が遅れるリスクが生じます。取引パイプライン機能では、すべての商談がどのステージにあるかを可視化できます。
次に取るべきアクションが明確になることで、確度の高い案件にリソースを集中させる判断が可能になります。営業マネジメントにおいても、パイプライン全体の進捗を俯瞰できる点が大きなメリットです。
出典:HubSpot
メールテンプレート
営業活動では、初回の案内メールや資料送付のお知らせなど、定型的な文面を何度も作成するシーンがあります。Sales Hubのメールテンプレート機能を使えば、これらの文面をあらかじめ登録しておくことができます。
さらに、メールの開封状況も可視化できるため、開封済みの相手には次のアクションを、未開封の相手にはリマインドを、といった適切なフォローが可能になります。
メモ・タスク
商談や打ち合わせの内容を忘れずに記録し、次の対応につなげることは、営業の基本動作のひとつです。Sales Hubでは、会話の内容を顧客ごとに記録し、チーム内で共有することができます。
また、次に実施すべきアクションを「タスク」として登録し、期日付きで通知することも可能です。これにより、フォロー漏れのない継続的な営業活動が実現します。
ドキュメント管理
提案書や見積書などの営業資料を送った後、それが実際に読まれているのかを把握できないことに悩む営業担当者は多いはずです。Sales Hubのドキュメント管理機能では、顧客が資料を開いたかどうか、どのページにどれくらいの時間をかけたかまで追跡できます。
こうした情報は、顧客の関心度を測る手がかりとなり、その後のアプローチ方法を判断する材料として非常に有効です。
これら6つの基本機能を活用するだけでも、営業DXにおける大きな前進となります。
関連記事:名刺を活用して見込み客を掘り起こす方法 ~HubSpot×Sansan連携~
HubSpot Sales Hubの活用法(応用編)
HubSpot Sales Hubには、営業活動をさらに高度に、戦略的に展開するための応用的な機能も充実しています。ここでは4つの機能について、その活用シーンと効果を具体的にご紹介します。
スニペット:頻出フレーズの登録で作業効率化
営業現場では、何度も使う定型フレーズがあります。たとえば、新規顧客への初回訪問後のお礼メールや、サービス紹介の文面など。これらを毎回入力していると、大きな時間のロスになります。
スニペットは英語で「断片」や「切れ端」という意味ですが、よく使う短文やフレーズをあらかじめスニペット機能で登録しておくことで、数クリックで挿入可能になります。スマートフォンの「ユーザー辞書」のような感覚で活用でき、返信作業が格段にスピードアップします。
プレイブック:営業プロセスの標準化と共有
プレイブックは、営業チームの全体の知識やノウハウをテンプレート化して共有して、標準化された営業プロセスを実践できる機能です。
たとえば、見込み客との初回接触時にどのような質問をすべきか、どんなヒアリング項目が必要かなど、経験者の知見を事前にまとめておくことで、新人からベテランまで誰でも同じく、高品質な営業対応ができるようになります。チーム全体で一定水準の営業力を担保するうえで非常に効果的です。
出典:HubSpot
シーケンス:フォローアップの自動化
営業活動では、見込み客へのフォローや失注案件への再アプローチなど、継続的な接触が重要です。しかし、すべてを手動で管理するのは限界があります。
シーケンス機能を使えば、あらかじめ設定したメールやタスクを一定期間ごとに自動実行できます。たとえば、失注理由が「今はタイミングではない」であったら、「6ヶ月後にフォローメールを送る」といった設定をしておきます。営業担当者が忘れていても自動でフォローメールを送ることができるなど、抜け漏れのない営業活動をサポートします。
カスタムレポート:柔軟な営業分析で戦略立案を支援
Sales Hubには標準的なレポート機能も備わっており、営業担当者ごとのパイプラインやパフォーマンスなどがわかります。
また、より複雑な分析をしたい場合にはカスタムレポートが有効です。
たとえば、「特定のKPIに基づいて営業プロセスを分解・分析する」「営業担当者ごとの成約率や平均リードタイムを比較する」といった柔軟なレポートを作成できます。これにより、リアルタイムの実績をもとにした戦略的な意思決定が可能になります。
出典:HubSpot
営業DXを成功させるための2つのステップ
最後に、営業DXをすすめる2つのネクストアクションをお伝えします。
1. 営業DXを進める前に、業務の棚卸しと現状把握を
営業DXというと「ツールを導入すれば実現できる」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。大切なのは、現状の営業業務を正しく把握し、どこに課題があるのかを見極めることです。
そのためには、営業チームの業務内容やフローを棚卸しし、現状を整理することから始める必要があります。現状が見えることで、初めて「どの部分にデジタル化が必要か」「どの課題を解決すべきか」が明確になります。
課題を認識しないままツールだけを導入しても、期待した効果は得られません。営業DXは、業務の見直しとデジタル活用をセットで進めることが成功の鍵です。ツール導入と業務の棚卸しを、同時並行で検討することをおすすめします。
2. 営業DXを推進する「HubSpot Sales Hub」の導入検討
営業DXの目的は、営業活動を効率化・共有化・戦略化することで成果を最大化することです。HubSpot Sales Hubは、こうした営業改革を支える強力なパートナーです。
直感的で使いやすいインターフェース、柔軟な拡張性、自動化機能、分析ツールなど、どれも現場の課題に直結した機能です。
もし、デジタルツールの選定に迷われている場合は、HubSpotをおすすめします。まずは無料プランから試し、自社にフィットするかどうかを確認することも可能です。最適なプラン選定や活用方法について、ぜひご相談ください。
まとめ
HubSpotのSales Hubを活用することで、営業DXを無理なくスモールスタートすることができます。営業活動を効率化し、戦略的に進めていくことで、企業としての競争力や営業成果の向上も期待できます。
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HubSpotについては、2015年から認定パートナーとして、BtoB企業が直面する課題や目標に応じた「現実的で効果的な運用方法」で、多くのお客様を支援してきました。
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