こんにちは、タービン・インタラクティブです。
先日、2025年2月13日に東京ビッグサイトにて開催された「Adobe MAX Japan 2025」に今回デザイナーチームから3名参加してきました。
イベント参加を通じて、Adobe製品の最新情報はもちろん、クリエイティブのトレンド、Webサイト制作の新たな可能性、そして普段触れる機会のない製品や分野からの刺激など、多くの学びと気付きを得ることができました。
本記事では「Adobe MAX Japan 2025」で得た知見をもとに、今後のクリエイティブの進化がもたらす変化と、その展望についてお伝えします。
目次
Adobe MAX Japanとは
Adobe MAX Japanはアドビ株式会社が主催する「クリエイターのための祭典」と呼ばれるイベントで、グラフィックデザイン、写真、Web制作、UI/UXデザイン、映像制作、3D制作など、さまざまな分野のクリエイターやそれを目指す方々が集い、最新のAdobe製品情報やクリエイティブのトレンドに触れられる場です。さらに、第一線で活躍するクリエイターのアイデアやテクニックを学ぶ貴重な機会にもなっています。
イベント序盤には、最新のAdobe製品や新機能、イノベーションを紹介する基調講演「キーノート」が行われます。午後からは、業界の最前線で活躍するクリエイターによる講義「セッション」が各ステージでスケジュールに沿って行われます。
進化した生成AIが人間の創意工夫を拡張させる
まず初めに「キーノート」について触れていきたいと思います。
約90分にわたるキーノートでは、冒頭にAdobeのCEOであるシャンタヌ・ナラヤン氏が登壇し、Adobeのクリエイティブに対する方針やビジョンを語りました。その後、製品ごとに登壇者が分かれ、新機能の紹介が行われました。
人間とAI、今後の関わり方
まず、キーノート冒頭でナラヤン氏が語った内容をまとめると以下の通りです。
- Adobeは“日々進化する生成AI技術”を取り入れた高性能な製品・機能を今後も提供していく
- 高性能な生成AI技術を取り入れたAdobe製品は、クリエイティブ活動の補助と拡大はもちろん、マーケティングや生産性といったあらゆる局面においても活躍
- Adobeのミッションは、世界をパーソナライズされたデジタル体験に変えることであり、デジタル体験のあらゆる局面でクリエイティブを活かすこと
話の中で特に印象に残っているのが、次の一節です。
「クリエイティブは人間独自の性質だと思っている。AIは人間の創意工夫を補助・拡大するもの、そして生産性を向上させる力を持つもの。決して置き換わるものではない」
ナラヤン氏は、Adobeの“他と一線を画すAIへのアプローチ”は、この信念に基づいているものと発言していました。
この言葉を受け、これからのAI技術の発展に伴い、私たちに求められることは、人間ならではの独自のビジョンや考え方、発想力といった「思考力」が重要であると感じました。
目指す場所や進む方向を決めるのは人間であり、AIはその目標達成をサポートし、業務を円滑かつ効率的に進めるための強力なツールとして、今後ますます活躍の場を広げていくと予想されます。
ゆえに、人間がAIの「サポーターとしての力」を最大限引き出すために、普段から意識的にAIに触れて、その長所と短所を理解し、AIに対するリテラシーを高めておくことが重要になりそうです。
具体的には、戦略立案等の思考への集中や、お客様への最適なプレゼン資料の作成など「思考力」を使う時間を確保するために、反復作業をAIに任せるのも一つの手段だと思います。例えば、デザイナーであれば、デザインの「ベース案作成」や「パターン出し」などの反復作業をAIに任せることで、デザイナーはより思考を伴う業務に時間を使うことができます。
皆さんも、まずはAIを気軽に試してみて、その可能性を実感してみてはいかがでしょうか?
動画生成が可能になったFirefly
ナラヤン氏の講演に続くAdobe製品の新機能紹介セクションでは、特に「Fireflyビデオモデル」が注目を集めました。
その理由として、商用利用が可能な安全な動画を約1分で簡単に生成できる上に、「Photoshop」や「Premiere Pro」といった他のAdobe製品との連携が非常にスムーズだからです。
短時間で強いインパクトが重視されるSNS広告の制作においては、既存の静止画に動きを加えて躍動感を与えるといった活用が可能となり、Fireflyの活躍の場がさらに広がりそうな予感がしました。
Webサイト制作プロセスの変化
ここからは、午後に行われた「業界の最前線で活躍するクリエイターによる講義」である「セッション」について触れていきます。
会場では70以上の実践的なセッションが開催されており、デザイン、UI/UX、動画制作、3D制作など、多岐に渡るクリエイティブ分野から学ぶことができます。
その中で、弊社のサービスの一つである「Webサイト制作」にフォーカスしたセッションに参加しました。Webサイト制作の今後の動向・これからの可能性について学ぶことができるセッション「Webデザインの可能性を広げて次のステップへ」を受講したので、紹介します。
このセッションでは、近年のWebサイト制作のプロセスやその役割の変化、そしてチーム間の連携の必要性について語られました。
AIの進化のみならず、デジタル領域の急速な発展によりクライアントが抱える課題やニーズはますます複雑化しているため、これからの時代は単に画面上のデザインを磨き上げるだけでは、本質的な課題解決には繋がらないという厳しい現状が見えてきました。
そもそもデザインは、体験や行動に影響を与えるものであり、単にパソコンに向き合って見た目を整える作業から、もっと視点を広げて画面の外にある要素、「環境」「技術」「チームの関係性」に目を向ける必要があると述べられていました。
Webサイトの役割の変化
従来のWebサイト制作では、CTAを目立たせ、端的な説明文を加え、魅力的なキービジュアルやキャッチコピーを添えることで、情報をより効果的に伝えることが重視されてきました。
そのため、Webサイトは主に「情報を発信する場」として機能し、ユーザーはそこから必要な情報を得て、サービスを選択する流れが一般的でした。
しかし、スマートフォンやSNSの普及によりユーザーのサービス選択の基準は大きく変化しています。単に情報を得るだけではなく、ブランドのビジョンや価値観に共感した上で、数ある選択肢の中から自らサービスを体験して選ぶ傾向が強まっていることが分かりました。
そのため、Webサイトに求められる役割も変化し、単なる情報閲覧の場ではなく「ブランドの世界観を体験できる場」としての機能が必要になります。
この変化に対応するためには、ユーザーがブランドの価値を感じ取ることができるデザインやコンテンツ設計を戦略的に行うことが重要です。単に情報を羅列するのではなく、ユーザーの心理や行動を深く分析し、興味を引きつけ、積極的に関わりたくなるような戦略的な工夫を施す必要があると語られていました。
具体的には、デザイナーやエンジニアが従来の役割にとどまらず、プロジェクトの初期段階から戦略的な視点でWebサイト制作プロセスに関与することです。
実際にユーザーとしてサービスを体験し、マーケターや営業担当者と連携して、トレンドデータや行動パターンを収集することでより的確な分析が可能となります。サービスの特性を深く理解して、ユーザーのニーズに応えるWebサイトをチーム全体で設計することがWebサイト制作の現場で求められていることだと述べられていました。
これらの話を聞き、これからのWebサイトは、単なる情報発信の場を超えて、ブランドの世界観を視覚的・感覚的に表現することで他社との差別化を図る「体験の場」として進化していく必要があると感じました。
そのためには、サイトの実用性(UI)とサービス体験(UX)を融合させる等、Webサイトのあり方をもう一度問い直すことが第一歩であり、このように変化するWebサイトの役割を柔軟に捉えて対応していくことが重要になります。
デザイナーの役割の拡張
従来、デザイナーは与えられたタスクをこなし、制作工程の一部のみを担当することが主流でした。しかし現在では、「見た目を整える作業」にとどまらず、「チームを繋ぎ、プロジェクト全体のビジョンを明確にする役割」を担うようになっています。そのため、デザイナー自身がチームの視点を統一し、ビジョンを可視化・言語化することがより一層重視されるようになりました。
例えば、デザイナーはマーケターと連携してユーザーの行動を調査し、エンジニアと協力して適切な仕様を考えることで、よりユーザーの心に響くデザインを生み出すことができます。また、ロゴやWebデザインを制作する際も、「背景」「目的」「今後達成したいこと」を制作会社だけでなくプロジェクトのご担当者様含め、プロジェクトチーム全員が共通認識を持って進めていくことが重要だと語られていました。
そして、こうした役割はデザイナーだけが担うものではありません。
- マーケターは、
データを基にユーザーの行動や市場の動向を分析することで、より効果的なクリエイティブ戦略を立案する - エンジニアは、
デザイナーと連携し、実装可能なデザインの方向性を早い段階ですり合わせることで、スムーズな実装につなげる - プロジェクトマネージャーは、
各チームの視点を統合し、円滑なコミュニケーションを促進することで、全体の品質と進行管理をサポートする
このように、プロジェクトに関わる全てのチームが連携し、それぞれの専門領域を活かして補完し合うことが、より質の高い体験/価値を生み出すカギとなるそうです。
弊社においても、ディレクターやデザイナーはマーケターと連携してユーザー(ペルソナ)に合わせた設計やデザインを行ったり、エンジニアと協力して適切な仕様を考えるなど、見た目の美しさは前提としながらも、目的に対する効果や使いやすさ、持続可能性なども考慮し、ユーザーにとって価値のあるデザイン制作を心がけております。
デザインや開発の枠を超えた広い視野を持ち、チーム全体の価値を最大化していく姿勢が、これからの時代のクリエイターにとって不可欠な要素になると考えられます。
セッション(講義)だけではない、楽しみながら学べる会場
Adobe MAXの楽しみ方は人それぞれ多様なものがあります。
セッションに参加して学びを深めることはもちろん、会場内には来場者が楽しめる多様なブースが用意されているので、合間に各ブースを巡ることでより一層楽しむことができます。
セッションの合間に立ち寄ったブースの中から、特に印象的だったものをいくつかご紹介します。
Adobe MAX Japan に参加した感想
今回「Adobe MAX Japan」に実際に参加して、Adobeのクリエイティブに関する最新情報や近年のWebサイト制作の傾向など、業界に対する理解を深めることができました。
クリエイティブに関わる全ての方、そして興味をお持ちの方にとって、とても有益なイベントになっていると思います!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
株式会社タービン・インタラクティブではマーケティングはもちろんのこと、デザインについても最新トレンドを常にキャッチアップし、クオリティの高いデザインを提供できるよう日々技術をアップデートしております。
Webサイトのリニューアルを検討中の方、またWebサイトを通じた集客にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
「Adobe MAX Japan 2025」への参加は、Adobe製品とAIの進化を学び、これからのクリエイティブ領域における仕事のあり方を考える、非常に有意義な機会となりました。
まだまだ進化するであろうAIの最新情報のキャッチアップとその活用方法を引き続き模索し、より良いサービス提供ができるようにしていきたいと思います。