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【INBOUND2018速報レポート】HubSpot製品アップデート情報〜 Marketing  Hub編

作成者: 志水 哲也|2018年09月06日

2018年9月4日~7日にボストンで開催される「INBOUND2018」に、今年もやってきました!
INBOUND2018」はHubSpotが毎年主催する世界的なイベントです。201520162017に続き4年連続で参加して来ましたが、回を重ねるごとにインバウンドマーケティングへの理解や関心が高まっているのを感じます。今年の参加者は24,000人と、過去最高となりました。

今回はまず「Marketing Hub」のアップデート情報からお伝えします。今年のHubSpot製品アップデートはいつもに増して戦略的。私たち日本企業にも嬉しいポイントが盛りだくさんで、お届けするのが楽しみです。それでは早速まいりましょう!


ファネルからフライホイールへ

2012年、HubSpot CEOブライアン・ハリガンはHubSpotのプロダクト構造をファネル(漏斗)の形を用いてホワイトボードに書き記しました。
そのファネルは、マーケティングとセールスによるステージごとのアプローチを、顧客の望む形で提供することを目的としており、その「成果物」が「カスタマー(顧客)」となっていたのです。

しかし、ファネルモデルはすでに最適ではないとHubSpotは考えているようです。カスタマーになるまでを重視するこのモデルには、その後のコミュニケーションの繋がりがなく、「ディライト」を重視してきたインバウンドマーケティングにも合わなくなっているのでしょう。

HubSpot導入企業を対象に実施されたアンケートでは「HubSpotをどこで知ったのか」という問いに対して最も多い回答は 「口コミ」でした。

これは他のSaaSサービスやエージェンシーについても同様ですが、「口コミ」の力はさらに強くなっており、それは既存の顧客が一番のセールスマンとして働いてくれているということを意味します。

HubSpotは改めて「顧客の高い満足を実現することこそが、ビジネスのさらなる成長に結び付く」と確信し、「フライホイール」モデルを提唱するに至ったということです。

上の画像を見ると、マーケティング、セールス、サービスが三位一体となり、円を描いていますね。そして円の中心は「顧客」です。
「ファネルを通して抽出されたビジネスの成果物」として顧客を定義するのではなく、あくまでも「ビジネスを成長させるグロース(成長)エンジン」であることを意味しています。

これまでに他の誰よりもバイヤーズジャーニーを深く考えてきたマーケティングリーダーは、今後は企業のグロース(成長)リーダーとなるべき。その役目はフライホイールを取り入れ、うまく回すことに集中することだというのです。

そんなMarketing Hubゼネラルマネージャーの熱いトークを踏まえながら、パートナーセッションで発表された、特に重要なMarketing Hubのアップデート情報5つについてカバーします。※ INBOUND2018で発表される全てのファンクションは、本日から11/1までに使用可能になります。

①HubSpot Conversations(会話機能)

まずはカンバセーションツールです。この機能はSales HubやService Hubでも有効であり、営業チームも実際にチャット対応をする一人となります。新しいカンバセーションツールについて説明するには、3つのポイントがあります。

1.ライブチャット

セールスチームやカスタマーサポートチームが連絡を取りやすいように、全てのカスタマーからのメッセージは受信ボックスに届き、ただちにHubSpotに記録されます。
Slackともネイティブ連携をすることで、素早い対応も可能になりました。
このセットアップは、カスタマーを中心とした施策を実現するためにとても重要です。カスタマーは連絡を取りたい時に、迅速にサポートチームと繋がれるようになります。

2.チームEメール

general@company.com、sales@company.comなどの共通メールを持ってる会社は多いですよね。今までマーケターは、それぞれにログインして、スパムかどうかをチェックしたり、担当者は誰なのか、振り分けしなくてはいけませんでした。今後は全てのお問い合わせは、まとめてHubSpot上の受信ボックスに入り、会社の全員が見ることができます。

3.チャットボット

チャットでのコミュニケーションは「こんにちは!何かお手伝いできることはございますでしょうか?」のような同じメッセージの繰り返しになっていないですか?
これをSalesやServiceのユーザーに合わせてセットアップすることで、よりよい顧客体験を提供できるようになります。

実はこのカンバセーション機能は、Marketing Hub単体のものではなく、無料のCRMについてくる機能なのです。ツール自体は昨年からアナウンスされていたものなので、驚きは少ないかもしれませんが、今回のアップデートで、全てのHubSpotユーザーへ無料で提供されるようになったことは、大きなアップデートと言えるでしょう。

②Marketing Hub Starter



今までのMarketing Hub Starterは、見込み顧客をリード化しCRMに追加するというリード獲得までの行程は行うことができました。しかし多くのユーザーは、獲得したリードとの関係性を築きたいと思っていたはずです。
そこで、今回のアップデートからStarterでもEメール機能を使用することができるようになりました!

  • ユーザーとの関係構築、エンゲージメントするためのEメール機能
  • リードを獲得し、CRMに取り入れる機能
  • フォームツール
  • リードフロー
  • リードアド

基本的なマーケティングをするのに十分な機能を備えたMarketing Hub Starterは、なんと価格も驚きの月50$からです。
この価格設定には、Marketing Hub Starterを史上最高のマーケティングSaaSとして打ち出していきたいという、HubSpotの強い意気込みが込められているように思います。

さらに、このStarterエディション、ProfessionalやEnterpriseエディションを購入する予算のない人々のためだけではないというのです。

成熟したマーケティングチームはないが、成熟した営業チームはあるというクライアント(当社のお客様にも多くいらっしゃいます)にこそ、このStarterエディションにトライしてマーケティングの価値を見出し、MAやSFAの導入の第一歩として活用してほしいという狙いのようです。

マーケティング部署がない、専任担当者がいない、そして営業チームは強力、という多くの日本企業にとって大きな意味を持つのではないでしょうか!

③HubSpot CMS



これまでMarketing Hubのオプション的に提供されてきた「HubSpot CMS」が、スタンドアローン製品になりました!
HubSpot CMSは、Wordpressと競合するようなものではなく、セキュリティやスピード、今後のマーケティング的な成長などを気にかける企業向けです。

個々の訪問者に基づいてウェブサイトのコンテンツを動的に調整し、エンゲージメントやコンバージョンを増やすパーソナライゼーション機能など、多くの役割を持つHubSpot CMSですが、このCMSこそが唯一HubSpot CRMとネイティブ連携されているということは特別な理由です。
CMSのマーケットではこれらを「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム」と呼び、通常は月額50万円を超えるような高価格で実現できる機能です。。

これらの顧客体験を、誰もが手軽に提供できるようにするのが、HubSpot CMSのチャレンジなのです。

本日から既に購入可能になっています。これはMarketing Hubだけでなく、Sales HubやService Hubのユーザーのアドオンとしても使うことができます。価格は、3万6000円(月額)で提供されます。

この提供に伴い、Marketing Hub Basicは廃止されました。今までのBasicエディションユーザーは、CMSとStarterエディションを使うことが最良の選択肢になるでしょう。

④HubSpot Video



HubSpot VideoはMarketing Hubだけのものではありません。
Marketing、Sales、Serviceの3つのHubに対してユニークな使い方を提供します
※これはProfessional以上で標準使用することができます。

まずMarketing Hubでは、次の3つのことが可能です。

  • ホスティング
    250本の動画をサイズのリミットなしで、簡単にアップロードできます。
  • CTA&Forms
    CTAやFormへの追加も簡単です。ブログを始めとするコンテンツにワンクリックで埋め込むことができます。
  • インサイト機能
    ビデオの効果はもちろん分析が可能です。

Sales Hubでは、1クリックで1対1のFace to Faceコールを録画したり、ディスプレイを録画することができるようになります。
Service Hubでは、ナレッジベースに動画をホスティングすることと、1on1ビデオの録画もできます。

動画はマーケティングのためだけに活用するものではなく、営業やカスタマーサポートでも顧客体験を高めるために活用していきましょう!

また、これまでカスタムレポーティング機能は有料アドオンでしたが、Pro以上のカスタマーで標準搭載することとなりました。
Proエディションには、1カスタムダッシュボードと25のカスタムレポート、Enterpriseエディションには、25カスタムダッシュボードと500のカスタムレポートが搭載しています。

これらのサービスは、事前情報の通り、Vidyardとネイティブ連携をすることで実現しました。価格をそのままにこれらの機能が標準装備とは、太っ腹なアップデートですよね!

⑤Marketing Hub Enterprise 

2019年のEnterpriseエディションは大きく生まれ変わります。
20の新機能のローンチが予定されており、大規模な組織の様々なニーズに答えられるようになりました。そのうちのひとつがパーティショニング機能です。

例えば複数ブランドを展開している企業、複数の国へ複数のビジネスを手がけている企業が使用する場合、リードやコンテンツは分けたいですよね、従来は複数のURL分のHubSpotアカウントを購入してもらい、コンタクトやレポートをはじめ全てのコンテンツをセグメンテーションしていましたが、これからはひとつのEnterpriseアカウントで管理することができます。

また、CRM上のコンタクトを分けることだけでなく、特定のチームに特定のコンテンツだけにアクセス権限を与えるなど全てのセグメンテーションをMarketing Hub Enterpriseから行うことができるようになります。

これらは日本の大企業にとっては重要な機能ですよね。今まで比較的中小企業に強いと言われてきたHubSpotですが、今後はエンタープライズ級の企業にも競争力のあるプラットフォームに変化していくことになりそうです。