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リードナーチャリングとは?必要性とリードの育成方法、成果をあげるツールを解説

作成者: タービン・インタラクティブ|2023年05月01日

リードナーチャリングとは「リードの育成」を指し、獲得したリードの関心を引き上げるためにおこなう施策や、そのフェーズを意味する言葉です。

新規開拓やリード獲得の施策に取り組み、製品・サービスに関心を持つ人の名刺や属性情報は収集できているのに、実際の商談や受注数は伸び悩んでいませんか。今回は、獲得したリードを商談・受注につなげる「リードナーチャリング」について、概要や目的、具体的な取り組みまでご紹介します。

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングは、直訳すると「リードの育成」です。
BtoBマーケティングは、リードジェネレーション(獲得)・リードナーチャリング(育成)・リードクオリフィケーション(選別)の3つのプロセスから成り、この全体をデマンドジェネレーションといいます。
リードナーチャリングは、展示会やセミナー、Webメディアなどで集めたリード情報を営業部門へ引き渡す間のプロセス、すなわち「獲得」と「選別」の間に位置します。

リードジェネレーション(獲得)

リードジェネレーションは、新しいリードを獲得するプロセスです。展示会やセミナーの開催、テレマーケティングでのアプローチ、各種メディアでの情報発信といった施策を行い、自社の製品・サービスに関心をもつ人の情報を広く獲得します。

リードナーチャリング(育成)

今回のテーマ「リードナーチャリング」は、リードの育成プロセスを指します。リードジェネレーションで獲得したリードは、競合他社の製品・サービスを含め、まだ広く情報収集をしている段階の人が少なくありません。こうしたリードに対してメルマガ配信やキャンペーン情報の提供など適切なアプローチを重ね、自社への関心を高めていくフェーズがリードナーチャリングです。

リードクオリフィケーション(選別)

リードクオリフィケーションは、リードを選別するプロセスです。リードナーチャリングで育成したリードの中から、行動データなどをもとに商談や受注につながる可能性が高いリードを選別し、営業部門へ引き継いでいきます

リードナーチャリングは必要?その重要性とは

そもそも、なぜリードに「育成」が必要なのでしょうか。それはズバリ、受注確度を高めるためです。
リードジェネレーションで獲得した全リードのうち、実際の売上に至るリードはわずか2割と言われています。展示会やセミナーなど様々な施策をおこない、コストや手間をかけてリード情報を獲得しながら、多くの企業は実に約8割の可能性を逃しているのが現実なのです。

加えて、リードは放置していても決断しません。
Marketing Donut社の調査によると、資料請求をしたリードのうち約6割は購入に至るまで実に3カ月以上の期間を要します。「ある程度の時間がかかっても約6割が購入に至るならよい」という判断はできません。このデータで注目すべきは、資料請求という一見、関心の高そうなアクションを起こしているリードでさえ、多くのリードは実際の購入に至っていないということも分かっています。実際に思い当たるご経験がある方も多いのではないでしょうか。

では、どうしてリードナーチャリングという育成プロセスを踏まないだけで、多くのリードを取りこぼしてしまうのでしょうか。

リードの購買プロセスの多様化かつ長期化

リード情報を獲得しながら、商談や受注に至ることができない理由はリードの購買プロセスの変化にあります。

最大の変化はインターネットの普及による情報量の増加です。以前はBtoB商材の情報は、展示会や訪問営業など限られた手段でしか得ることができませんでした。そのため、営業から説明を受けたら、その流れで受注へつながることが多かったのです。

しかし、現在はBtoB商材の情報もインターネットで広く情報収集できます。その結果、リードは膨大な情報を簡単に手に入れ、複数の選択肢から製品・サービスをじっくり比較検討するようになりました。担当者個人の判断だけでなく、企業全体として十分な比較検討をおこなうことが厳格化され、受注に至るまでの検討期間が長期化しているのです。

この長い検討期間中に何もアプローチをかけなければ当然、存在を忘れられます。反対に、リードが求める情報を適切なタイミングで与え続ければ、リードを放置している競合他社に先んじて自社への関心を高められるのです。

確度の高いリードへ営業リソースを効率的に投下できる

リードの検討期間の長期化によって発生するのが、リードの放置です。
展示会やセミナー、資料請求などで獲得したリードの多くは「まだ情報収集の段階にいる関心度の低いリード」に過ぎません。

具体的な商談ができる段階ではないリードを引き渡されても営業部門は困るはずです。アポイントを取ろうとしても断られるでしょうし、しつこく追いかければリードの心象を悪くする可能性もあります。営業部門としてはリソースも限られていますし、同じ時間を割くなら受注に至る可能性が高い顧客に注力したいのは当然です。結果、せっかく獲得したリードが放置されてしまう事態が起こるのです。

リードが検討期間にいる間にアプローチの役割を担うのはマーケティング部門です。メルマガ配信やSNSでの情報発信などによってリードに自社の存在をアピールし続け、関心を段階的に育成していく「リードナーチャリング」によって、営業部門へ確度の高いリードを引き継ぐことができるのです。

フォローし続けないと、競合他社へ流れてしまう

リード獲得には成功しているのに受注件数が上がらない企業が陥っているのが、休眠状態のリードの増加です。休眠状態とは、放置された状態のリードです。何のアプローチもかけず、放置している休眠状態のリードがいくら増えても当然ながら業績を上げることはできません。

それどころか、そうした休眠状態のリードが知らない間に競合他社へ奪われてしまうことも大いにあり得ます。SiriusDecisions社の調査によれば、リードを長期的に放置した結果、休眠リードの80%が2年以内に競合他社から製品・サービスを購入しているというデータもあるほどです。

奪われたリードはもしかしたら当初は競合他社ではなく、自社に関心が高かった可能性も否めません。受注の可能性を逃した理由は、ほかでもないリードナーチャリングへの取り組みの差でしょう。

リードナーチャリングのデメリット

ここまでリードナーチャリングの重要性を説明してきましたが、リードナーチャリングをおこなうにはビジネスコストがかかります。取り組みを始める前にそうしたデメリットの面も理解しておきましょう。

リードナーチャリングのビジネスコストは端的にいえば「リソース」と「時間」です。
獲得したリード情報を、①効率を上げる方法で一元管理したうえで、②適切な施策を実施しなければなりません。そのためには、例えば個々の担当者が持っているリード情報を社内で共有できる管理システムが必要ですし、導入した管理システムを運用する人員も必要です。また、リードにどんな施策をおこなうかを考え、実施する工程もあります。

多くのリソースがかかるうえ、リードナーチャリングは成果が出るまでに時間もかかります。

必要性を理解しながら、リードナーチャリングを実施できずにいる企業が多いのはこうした理由からでしょう。しかし、だからこそ効果的なリードナーチャリングが実施できれば、競合他社の休眠顧客を自社へ誘導するような大きな可能性があるのです。

リードナーチャリング導入時のポイント

リードナーチャリングを始める前に導入のポイントをおさえておきましょう。成果を出す5つのポイントは次の通りです。

1.リードナーチャリングで目指すKPIの設定

どんな施策も、その施策が何を達成すれば成功といえるのか、目的や指標を明確にしておく必要がありますよね。特にリードナーチャリングは成果がはかりにくいため、KGI(重要目標達成指標)から、数値化できる明確なKPI(重要業績評価指標)を設定するのがおすすめです。

KGIは「成約件数」「売上金額」などを設定します。このKGIから逆算して中間地点となるリードナーチャリングの指標(KPI)を設定します。「商談数」「アプローチ数」「メールの開封率・クリック率」など細かく設定するといいでしょう。例えば、メールが1通開封されたら1ポイント、メールに記載されたURLがクリックされたら2ポイントなど数値を決めてスコアリングするとリードの関心度を測りやすく、評価も共有しやすくなります。

2.バイヤーズジャーニーの把握

バイヤーズジャーニーとは、リードが製品やサービスを認知し、比較検討を経て購入を決断するまでにたどるプロセスのことです。デマンドジェネレーションという大きな流れの中で、それぞれのリードはそれぞれに感情や思考、アクションを変化させます。

リードナーチャリングでは、個々のリードのバイヤーズジャーニーを把握し、どの段階まで進めば「育成できた」と判断するのか、目指すべきバイヤーズジャーニーを決めておくことも大切です。

3.マーケティング・インサイドセールス・営業部門で連携

リードナーチャリングは、獲得したリードを受注や商談につなげるための取り組みです。マーケティング部門が中心になっておこないますが、受注に結びつけるには営業部門との連携は欠かせません。

実際、マーケティング部門がナーチャリングしたリードに対し、インサイドセールスが電話やメールなどでアプローチをかけて、営業部門がクローズドするといった流れになることが多いはずです。そのため、マーケティング部門がもっている「どのようなプロセスを経て関心を高めたリードなのか」というリード情報は、営業活動における分析や戦略立てにも非常に有用なのです。

まずは、どの部門がリードにどこまでアプローチをするのか役割分担を明確にしましょう。そして、リード情報を一元管理し、部門を超えて共有できる管理システムを整備することもリードナーチャリングを受注に結びつける重要なポイントです。

4.リードの購買意欲・検討段階とともに情報管理

リードナーチャリングに限らず、デマンドジェネレーションに一貫して重要なのがリードの関心度を把握することです。展示会や資料請求などで情報を獲得したリードは、まだ製品・サービスを比較検討している段階で自社に対する関心度は薄い状態です。

そうしたリードに対してメルマガ配信やキャンペーン案内などでフォローを続けていると、オウンドメディアへのアクセスやセミナー参加、資料請求などリードがアクションを起こすようになります。こうしたリードの関心度の変化をリアルタイムで把握し、有用な情報として管理・共有することがリードナーチャリングを成功へ導きます。

MA(Marketing Automation)やSFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relationship Management)といった管理ツールを使って、個々のリードのアクションを丁寧に追いかけましょう。多くの企業がリード情報の管理レベルを上げています。手に入れた名刺の住所や連絡先を一覧表に入力して終わり、ではありません。むしろ、そこからがリード情報をブラッシュアップしていく“始まり”なのです。

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5.検討タイミングに合わせたコンテンツの作成

リード情報を丁寧にブラッシュアップしていると、検討期間中のリードの関心度がつかめるようになります。個々のリードの関心レベルにあわせて提供する施策を変えれば、より効果的なアプローチが可能です。

例えば、展示会で名刺交換したリードは、まだ自社への関心度が高いとはいえません。こうした層には定期的なメルマガの配信、セミナーへの招待などで製品・サービスの認知を上げましょう。一方、資料請求やセミナー参加など自らアクションを起こしているリードには、導入事例の紹介やキャンペーンの案内といった、より具体的な情報提供が効果的といえます。

また、おこなった施策とその後のリードの変化を追っていけば、どの段階のリードにどんな施策が有効なのかも見えてくるはずです。そうした実施データを蓄積し分析すれば、やがて自社独自のリードナーチャリングの成功モデルを確立できます。

リードナーチャリングを促進させるのにはツール導入が最適

先に触れましたが、リードナーチャリングをおこなうにあたって外せないのがリード情報の管理です。主な管理ツールとして活用されているのが、マーケティング活動の全般を担うMA(Marketing Automation)と、営業部門をサポートするSFA(Sales Force Automation)、そして、リードが顧客に昇格した後も継続して情報を最適管理するCRM(Customer Relationship Managementです。

これら3つの管理ツールは目的やメリットの詳細は異なりますが、リード情報を随時ブラッシュアップしながら、関係者全員でそれを共有できる利点が共通しています。

リードの状況は日々変わります。どのリードが、今どれくらいの関心度なのかをリアルタイムで把握し、その良質で鮮度の高いリード情報を関係者全員で共有すること。それは、リードナーチャリングの成功はもとより、これからのBtoBビジネスを勝ち抜くうえで不可欠な要素となっています。

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リードナーチャリングの方法と施策事例

リードナーチャリングには具体的にどのような方法があるのでしょうか。

メール配信

メール配信は、リードナーチャリングを意識せずとも多くの企業がすでにおこなっている施策でしょう。実際、メール配信は担当者に情報を直接届けられるため、BtoBのアプローチにおいて非常に有効な手段です。

メール配信は、メルマガ・セグメントメール・ステップメールの大きく3つに分けられます。メルマガは全てのリードに一斉配信するのに対し、セグメントメールは特定のリードに絞ってメールを配信する手法です。例えば、以前送ったメルマガに記載したURLをクリックしたリードだけに、関連するキャンペーンメールを送ったりします。

ステップメールは、リードの関心度やアクションに合わせて段階的にメールを配信する手法です。例えば、特定の商品・サービスに関心を持っているリードに対して、初めにダウンロードした資料のより詳しい情報を案内しながら検討度合いを引き上げていくことも可能です。受け取るリードは「自分に向けて送られた」特別感を抱きやすく、必要なタイミングで誘導することができるため、自然と次のアクションにもつなげられます。

自社セミナー/ウェビナー

自社セミナーやウェビナーは、リード獲得だけでなくリードナーチャリングにも有効な施策です。特にオフラインでのセミナーはオンライン施策と異なり、対面コミュニケーションができるのが利点といえます。一方、ウェビナーは開催コストをおさえながら製品・サービスを直接的に説明できます。リードにとっても移動コストがかからず参加しやすい施策です。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社コーポレートサイトとは別に、自社で運営するWebサイトやブログのことです。コーポレートとの大きな違いは商品・サービスに特化した情報発信ができる点でしょう。

リードが求める情報を提供しやすく、自社で更新をおこなえば最新の情報を素早く発信できるのも特長といえます。適切なオファーポイントの設定を行い、有益な情報を発信し続ければリードナーチャリングだけでなく、新規のリード獲得もねらえる施策です。

ホワイトペーパー(資料提供)

マーケティングにおけるホワイトペーパーとは、製品・サービスの情報をはじめ、それらに関連するマニュアルやガイドなどの資料を指します。自社コーポレートサイトやオウンドメディアからPDFファイルなどでダウンロードできる状態で提供されるのが一般的です。リードナーチャリングでは、課題軸や活用事例など、見込み客が知りたい情報をテーマに自然と自社製品へのアプローチが可能です。

ダウンロードする際に、社名や担当者名、メールアドレスなどリード自身の情報を提供してもらえることから、リード獲得の施策としてもよく用いられます。

チャットボット

チャットボットとは、質問に対する回答を自動でおこなうチャットシステムのことです。電話や対面など直接的なコミュニケーションに比べてユーザーの心理的なハードルが低いため利用されやすく、BtoBマーケティングでも活用が広がっています。

チャットボットの会話はQ&A形式で展開することが多く、リードが何に関心を持っているのかをチャットボットの会話ログから拾うことができます。また、返答パターンのシナリオを複数用意しておき、リードの行動履歴に合わせて出し分けることも可能です。リードの疑問をチャットボットでスムーズに解決できれば、自社Webサイトへの信頼も上がり再来訪の機会も得られるでしょう。

HubSpotのCRM(顧客管理システム)ならリードナーチャリングの成果があがる

ここまでご紹介したとおり、リードナーチャリングで成果を上げるには「リードの関心度に合わせたコミュニケーション」が不可欠です。そのためには、まずリードの関心度を的確に把握する必要があります。

そこで活用が広がっているのが、リード情報を随時更新しながら複数人で共有できる管理システムです。先で触れた通り、リードから顧客に至るまで継続的に情報を管理し適切なフォローをサポートするのが、CRMと呼ばれる管理ツールです。

実際、CRMを導入するとどんなことが実現できるのでしょうか。

ここからは、マーケティング・セールス・カスタマーサービス・コンテンツマネジメントシステム・業務オペレーション支援の5つのソフトウエアをつなぐ統合的なプラットフォーム「HubSpot」を具体例に、管理システムの機能を紹介します。

顧客の情報、検討段階を一元管理

以前のリード管理は、名刺管理ツールや自作エクセルなどでおこなわれてきました。そうした昔ながらの方法とCRMの最大の違いは、半自動的に情報をアップデートできる点です。氏名や年齢、地域といった属性情報だけでなく、自社とのやりとりを時系列で記録し、リアルタイムでデータベースを更新できます。

最初に入力した状態のまま、情報が全く更新されないデータベースはリードを休眠状態に陥らせる要因のひとつです。

リード情報が随時アップデートされていくことで、どのリードが検討段階のどのフェーズにいるのかがひと目で分かり、効果的な施策の実施に役立ちます。

顧客の行動の変化をリアルタイムで把握できる

HubSpotはシステムに登録したリードの行動履歴を追うことができます。メルマガの開封やURLのクリック、自社コーポレートサイトへのアクセス履歴などオンライン上の行動を記録して可視化することで、リードの行動変化をリアルタイムに把握できます。

リードの検討ステージが変わったタイミングでインサイドセールスや営業へ通知できる機能を使えば、関心の高いリードの取りこぼしも防げます。

顧客の状態に合わせたコミュニケーションが可能

HubSpotは個々のリードの状態に合わせてアプローチを変えることも簡単です。

例えば、メルマガの一斉送信はもちろん、関心度に合わせて内容をカスタマイズしたセグメントメールを配信できます。また、チャットボットの作成も簡単。例えば、関心度の高いリードにはミーティングの予約や、お問い合わせへの回答などを自動で返答できます。
人的負担をおさえる自動応対ながら、リードに合わせて最適なタイミングで有益な情報を提供することができるのです。