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中国Webサイト最前線Vol.2 「ライトアップス」を知ってますか?

作成者: タービン・インタラクティブ|2015年06月03日

目まぐるしいスピードで経済発展を果たしている中国。Webサイトも日々進化しています。

前回のVol.1では、中国の最新モバイル事情や企業サイトのあり方についてお話しました。 スマホの爆発的な普及によって、中国企業は「モバイルオンリー」、つまり自社サイトのPC版を捨て、スマホサイトだけを構築するようになったのです。

今回はそんなスマホサイト、通称「ライトアップス(轻应用 キンインヨン)」について私ロジャーがご紹介したいと思います。

Webサイトの新たな形=「使い捨てWebサイト」?

ライトアップスとは、機能・コンテンツ・ターゲット層ともに極力絞られた「軽い」Webサイトのことです。

「軽いWebサイト」と聞くと、一昔前の携帯(フィーチャーフォン・ガラケー)サイトを連想し、技術も古くて見た目もダサければ、使い勝手もあまりよくないだろう、と思うかもしれません。
しかしライトアップスはスマホ専用に構築されます。ゆえにHTML5とCSS3を駆使したサイト作りで、より豊かな表現や演出(CSSアニメーション・ウェブフォントの多用など)が可能です。

ライトアップスの大きな特徴の一つは「時間をかけずに閲覧して、すぐに共有できる」ことです。ほとんどのライトアップスは1つの階層(ワンレベル)で完結し、1つの用途(ワンユース)、1つのコンテンツ(ワンメッセージ)しかなく、1回読んでしまえばSNSで知り合いにシェアして、もう二度と訪れることはないでしょう(ワンタイム)。

言い換えればライトアップスは「使い捨てWebサイト」なのです。

決算報告からグラビアまで。ライトアップスいろいろ

それではそんな使い捨てWebサイト、ライトアップスをいくつかご紹介しましょう。

ちなみにライトアップスはPC環境でももちろん閲覧できますが、スマホ専用に設計されただけに、PCで閲覧するとひどく崩れたり異様に大きかったりするかもしれません。またあくまでも「スマホ専用」のため、マウスクリックにすら反応しないサイトもあります。PCで当記事をご覧いただいている皆さまは、お手数ですがお持ちのスマホで下記の二次元コードをスキャニングして閲覧していただくことをおすすめします。

さらに、ほとんどのライトアップスは「ワンレベル・ワンユース・ワンメッセージ・ワンタイム」に加えて、期間限定でもあるため、チャンスを逃したら二度と見られないかもしれません。ご覧になるなら今のうちです。

<ご注意>いきなり大音量で音が出るコンテンツもございます。くれぐれもお気を付けください。

▲4.4億ユーザーを持つモバイルソフトウェアメーカー「猎豹移动(チーターモバイル)」決算報告
http://www.liveapp.cn/HTML/dev-liebao-finance/
多くの中国企業は、決算報告のようなIR情報もPCサイトではなくモバイルオンリーで展開しています。面白いですね。

▲中国国内のスマホのトップシェアを持つ通信機器・ソフトウェアメーカー「小米科技(シャオミ)」リクルートコンテンツ
http://www.liveapp.cn/HTML/dev_mi/
若き即戦力を求めるべく、ポップなイラストやアニメーションを多用し、「小米で働く=遊ぶ」というコンセプトをアピールしています。

▲中国とアメリカに本社を置くパソコンメーカー「Lenovo(レノボ)」創設30年記念スペシャルコンテンツ
http://lenovoevents.ovpp.cn/events/
バースディカードと沿革が合体されたコンテンツです。最後のバースティケーキをタップするとキャンドルをつきます。

▲ニュースサイト「NetEase」による2014年航空事故のまとめ
http://www.liveapp.cn/HTML/dev_ntes/
すべて楽しいコンテンツばかりではありません。悲しい事故のニュースをインフォグラフィックと写真で力強くユーザーに届けています。

▲日本自動車メーカー「斯巴鲁(スバル)」中国ブランドコンテンツ
http://www.liveapp.cn/brand/index/4181/
ライトアップスに動画を練り込んだスバルのカタログです。写真や動画を堪能したあとは試乗会に導かれます。

▲ランジェリーメーカー「都市丽人(コスモレディ)」ブランドコンテンツ
http://u.liveapp.cn/9330/
男子にとってはちょっとホットなコンテンツ。最初の画面に出てくる窓ガラスの露結はなかなかのナイスアイデアです。

サイトの目的は、購入や資料請求よりも「シェア」!

全てにおいて「短期」かつ「高速」の展開が求められるライトアップス。
私たちがよく知っているBtoBやBtoCサイトと違い、ユーザーに求められる行動(CTA※1)は「購入」や「お問い合わせ」でもなければ「資料請求」でもありません。ライトアップスにおいてもっとも理想とされるCTAは実は「シェア」なのです。

多くのライトアップスはコンテンツの終わりに「このページをシェアする」という仕掛けが現れます。気になるコンテンツを好きなSNSでシェアすること自体は日本でも最近当たり前のことですが、中国ユーザーの間ではこの「シェアする」ことの意味が少し違います。

もちろん中国にもTwitterやFacebook、LinkedIn、LINEなど、世界展開されているメジャーなSNSが存在しますが、ライトアップスのシェア先はほとんど単一のSNS(正確にはソーシャルアプリ)のみとなっています。

その単一のSNSとは「WeChat(微信 ウェイシン)」と呼ばれるものです。

WeChat(微信 ウェイシン)は中国国外ではあまり知られていませんが、国内では5.27億人のモバイルネットユーザーの8割(約4.38億人)が利用している巨大SNS。その数はなんとTwitterの月間アクティブユーザーの倍と言われています。世界のTwitterの2倍とは、とにかくすごい数ですね。

それでは、なぜ中国の企業は利益には直結しない「シェア」にこだわるのか?
WeChatはどれほどのSNSなのかを次回Vol.3でお話したいと思います。

どうぞお楽しみに!