本記事は、2024年8月27日ウェビナーで配信した内容をもとに記事化しております。
動画でご視聴されたい方向けに、本ウェビナーのアーカイブ動画もご用意しておりますので、ぜひご視聴ください。
SEOとは
ひとくちにSEOといっても、その考え方は進化し続けています。
従来の検索エンジン最適化に加え、ユーザーの検索体験を重視した新しいアプローチも注目されています。ここでは、SEOの基本概念からわかりやすく解説します。
SEO（検索エンジン最適化）
SEO（Search Engine Optimization）とは、Googleなどの検索エンジンで自社のWebサイトを上位に表示させることで、新規顧客の獲得につなげるマーケティング手法です。
多くの人は「SEOは、検索結果の上位に表示されること」と考えがちですが、SEOはあくまでマーケティング戦略の手段にすぎません。
SEO本来の目的は、検索結果の上位に表示されることで、自社の商品やサービスをまだ知らないユーザーに認知してもらい、興味を持ってもらうための機会を創出するためのきっかけ作りだとご認識いただければと思います。
SEOから検索体験を最適化するSXOへ
従来のSEOは主に検索エンジンがサイトの構造や情報を評価するものでした。
しかし、現在のGoogleは、サイトの構造だけでなく、そのWebサイトを訪れるユーザーの行動データも重視するようになっています。そのため、現在ではSEOよりもSXO（Search Experience Optimization：検索体験の最適化）が重要なポイントとなっています。
SXOでは、これまでのようにサイトの構造や情報の質だけを見るのではなく、ユーザーがどのような行動をとるのか、検索前にどのような意図でキーワードを入力し、Webサイトに訪れるのかを考慮する必要があります。
つまり、SEOだけでなく「ユーザーの検索体験を向上させること」が今後ますます求められるのです。
Googleが考える「優れたサイト」とは
Googleは、年々アップデートを重ね、ユーザーが使いやすいWebサイトを上位表示するよう進化しています。この章では、Googleが具体的にどのようなポイントを評価しているのか解説します。
ユーザー行動データから検索体験を評価
Googleは、ユーザーが検索した目的に対し、適切な情報を提供し満足してもらうことを「検索体験（Search Experience）」と捉えており、単にWebサイトの構造だけでなく、「検索ユーザーの行動データ」も重視していると考えられます。
ユーザーが「SEOとは」と検索したとき、表示された複数のページの中から目的に合ったページを選びます。役立たないと感じればすぐに離脱し、別のサイトや再検索に進むでしょう。逆に内容が有益であれば、ページをじっくり読み、サイト内を回遊する行動も見られます。
このような行動データはGoogleにとって重要な評価指標となります。たとえば、以下のような行動は「良い検索体験」として評価される傾向があります。
- 直帰せず、長く滞在している
- サイト内の2ページ目へ遷移している
- 再検索をしていない
ただし、離脱が必ずしも悪い評価になるとは限りません。ユーザーが短時間で必要な情報を得て満足して離脱する場合もあるため、「情報の取得スピードと納得感」も評価に含まれると考えられます。そのため、単に訪問したページから別のサイトへ移動しないことが重要なのではなく、ユーザーが適切な情報を得られるようにすることが大切です。
さらに、Webサイトの見やすさやコンテンツの分かりやすさ、全体としての納得感も、検索体験の質に大きく関わります。
つまり、検索結果に表示されてクリックされた“その瞬間”だけでなく、ページを閲覧し、情報を得て検索行動を終える“最後の瞬間”まで、ユーザーが満足できる設計が求められます。こうした検索体験全体を最適化することが、SXO（Search Experience Optimization）の重要なポイントです。
Googleが評価する３つのポイント
Googleは、Webサイトを評価する際に、主に以下の3つの要素を重視しています。
- コンテンツ
- レピュテーション
- プラットフォーム
1.コンテンツ（情報の質）
ユーザーが求める情報を適切に提供できているかが評価のポイントです。質の高い情報をわかりやすく提供し、ユーザーの検索意図に合ったページが、Googleで評価されやすくなります。
- ユーザーが知りたい情報がコンテンツとして提供されているか
- 情報の質が高いページと認識されやすい状態になっているか
2.レピュテーション（外部評価）
Googleは、自然な外部シグナルを獲得しているか、Webサイトが外部からどのように評価されているかも重視します。
- ユーザーから支持されているか
- 自然発生リンクを獲得しているか
- SNS上での言及はあるか
3.プラットフォーム（技術的要因）
Webサイトの技術的な構造も、Googleの評価に影響を与えます。特に、検索エンジンがWebサイトをデータとして処理・理解しやすい構造になっているかが重要です。
- 検索エンジンが適切にクロール・インデックスできる構造になっているか
- URLの正規化が適切に行われているか
- URLが永続化されているか
検索エンジンが適切にWebサイトを認識できるよう、HTMLやCSSの構造が整理されていること、ユーザーの動線（リンクやCTA）が適切に設計されていること、URLの正規化や永続化がなされていることなどが評価対象になります。
SEOは長期的な取り組みが必要
検索エンジンに、優れたWebサイトとして評価されるには時間がかかります。
以前のSEOでは、大量のリンクやキーワードを集めることで評価が上がる仕組みでした。しかし、現在のGoogleではこのような手法はスパムとみなされ、かえってランキングを下げる要因となってしまいます。
つまり、コンテンツの質やサイトの構造を改善し、ユーザーからの信頼を積み重ねることが重要です。SEOは短期間で成果が出るものではなく、中長期的な視点で取り組むべき施策であることを理解しておく必要があります。
SEOにおける内部施策と外部施策
Googleの評価ポイントに応えるSEOの施策は、大きく「内部施策」と「外部施策」に分けられます。簡単に言うと、「良いWebサイトを作ること」が内部施策で、「外部からの評価を得ること」が外部施策です。
ここでは、それぞれの概要と役割について説明します。
内部施策とは
内部施策とは、Webサイトの構造やコンテンツを検索エンジンとユーザーの両方に最適化することを指します。前述した「Googleが評価する３つのポイント」のうち、「コンテンツ」と「プラットフォーム」は内部施策に該当します。
具体的には、Webサイトの中身（キーワード、サイト構造、コンテンツ、内部リンクなど）を改善し、より使いやすく価値のあるサイトにすることが重要です。
内部施策をしっかりとおこなうことで、検索エンジンからの評価とユーザーの満足度の両方を向上させることができます。
外部施策とは
外部施策は、他のWebサイトやSNSなどから自社サイトへのリンク（被リンク）を集めることです。「Googleが評価する３つのポイント」のうち、「レピュテーション」に該当します。
Googleは、他サイトからのリンクを「そのサイトの信頼性が高い証拠」として評価するため、外部施策を適切におこなうことは、検索結果の順位向上につながるのです。
SEOでは、内部施策と外部施策の両方をバランスよくおこなうことが重要です。
SEOにおける内部施策の考え方
SEOの内部施策における6つの観点
SEOの内部施策には、重要な6つの観点があります。これらを分析することで、内部施策を網羅的に実施することが可能になります。
1.コンテンツ
ユーザーと検索エンジンに対して適切な情報を提供できているか、検索市場が求めるコンテンツが質・量ともに適切かどうかを判断します。
2.内部リンク
検索エンジンにページの関連性や重要性を伝え、Webサイト全体を適切に読み取らせる仕組みになっているかを判断します。内部リンクの構造を整えることで、Webサイト全体の評価向上につながります。
3.モバイル対応
スマートフォンやタブレットで閲覧する際に、ユーザーと検索エンジンが情報を正しく認識しやすいかどうかを判断します。
Googleはモバイルファーストインデックスを採用しているため、モバイル対応の最適化は必須です。実際のインターネット利用ユーザーも、スマートフォン閲覧が6割、PCが4割と言われています。文字が小さすぎる、ボタンが押しづらいなどのストレスがないかもポイントです。
4.キーワード
検索市場を踏まえ、ユーザーニーズに合ったキーワードが適切に使用され、多くのユーザーにアプローチできているかを判断します。
たとえば、「BtoBマーケティング」というキーワードで検索した場合、このキーワードは幅広いため、さまざまな検索意図が考えられます。「BtoBマーケティング コツ」と検索する場合はノウハウを求めていると考えられ、「BtoBマーケティング 会社」と検索する場合は企業を探している意図があると判断できます。
このように、キーワードには検索ユーザーの意図が含まれているため、その意図を正しく理解し、それに沿ったコンテンツを作成できているかが重要なポイントとなります。
5.検索結果画面
検索結果ページで、ターゲットユーザーの目に留まりやすいタイトルやテキストが適切に設定されているかを評価します。検索結果のクリック率を上げるために、訴求力のある見出しや説明文を意識することが大切です。
6.サイト構造
ユーザーと検索エンジンの両方がサイト全体の構造を正しく把握できる状態になっているか、情報整理の設計が適切に行われているかを判断します。内部リンクは「ページの関連性や相互リンク」の判断に対し、よりWebサイト全体の構造を整えられているかが判断基準になります。
内部施策をおこなう上での注意点
次に、内部施策をおこなう上での注意点は2点あります。それぞれ説明していきます。
- サイトタイプごとに重要要素は異なるため、自社の業界理解が必須
- SEOだけでは解決できない要素がある
1.サイトタイプごとに重要要素は異なるため、自社の業界理解が必須
サイトタイプによって、先ほど解説した重要な6つの観点の影響度は異なります。そのため、自社の業界を理解することが重要です。
たとえば、データベース連動型のサイトとメディアサイトでは、重視すべき要素が異なります。
メディアサイトでは、ニュースやコンテンツ記事の質が特に重要になります。一方、データベース連動型のサイトでは、データ管理が求められ、単にコンテンツの質だけでなく、ユーザーがデータベースから必要な情報を検索し、適切に取得できるかが重要になります。
もちろん、どのサイトタイプでも見やすさは大切ですが、データベース型のサイトでは特に重要な要素となります。
このように、Webサイトの種類によって最適な施策は変わるため、自社のサイトの特性や業界の状況、競合の動向をしっかり把握しておくことが必要です。
2.SEOだけでは解決できない要素がある
2つ目に、SEOだけでは直接解決できない要素があることも理解しておく必要があります。
- ドメインの力（古いドメインの方が評価が高くなる傾向がある）
- ブランドの力（知名度の高い企業や用語は検索エンジンで優遇される）
一般的に「ドメインの力（ドメインパワー）」は、古くから運用されているドメインの方が強いとされます。また、知名度の高い企業やよく知られている用語は、検索される頻度が高く、ユーザーに認識されやすい傾向にあります。これはブランドの力とも呼ばれます。
このようなドメインパワーやブランド力は、内部施策だけでは改善できません。そのため、長期的な視点で自社の知名度を向上させ、ドメインを継続的に運用していくことが重要です。5年後、10年後を見据えた戦略を考えることも必要になるため、これらの要素を意識しながら施策を進めていくことが求められます。
SEOにおける外部施策の考え方
次に、外部施策について解説します。
外部施策のポイントはレピュテーション（外部評価）ですが、単にリンクを増やすことを目的とするのではなく、自然にリンクを貼ってもらえるような有益なサイトを作るという視点で取り組むことが重要です。
外部リンクを獲得するためには、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し、自然に共有されるサイトを目指すことが大切です。
たとえば、ニュースサイトやブログサイトの場合、有用なコンテンツを発信し、SNSなどでシェアされることで評価を高めることができます。また、統計データや権威のある著者のコンテンツを掲載し、他のサイトに引用されることで、参照元としてリンクを貼ってもらうことも外部施策の一つです。
ただし、不自然な外部リンクはスパムとみなされるため、意図的に外部リンクを増やす施策をおこなうことはできません。そのため、外部施策は短期的な対策ではなく、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し続けることで、自然にリンクやバズが増え、結果的に外部施策につながるものと考えるべきです。
つまり外部施策は、意図的にリンクを増やそうとするものではなく、内部施策の一貫でユーザーの共感を得られるコンテンツや有益なコンテンツを提供し続けることで、結果的に外部リンクやバズを生み出すものです。そのため、SEOにおいても短期間で成果を求めるのではなく、中長期的な視点で取り組むことが大切です。
Google Search Consoleを活用した課題の把握方法
Googleは、検索エンジンが認識しているサイトの情報をWeb担当者向けに提供しており、Google Search Consoleはその代表的なツールの1つです。Googleのガイドライン違反に関する警告メッセージなどが表示されるため、Webサイト運営において非常に重要な役割を担っています。
ここからは、Google Search Consoleを活用し、問題点や情報を把握する方法について説明します。
Google Search Consoleの機能と活用方法
Google Search Consoleには、検索エンジンがWebサイトをどのように認識しているかを把握するためのさまざまな機能があります。その中でも、SEOの観点からWebサイトの改善や状況把握に役立つ6つの機能と活用方法を紹介します。
1.メッセージ
Google Search Consoleでは、Googleからの重要なメッセージや警告を確認できます。たとえば、ガイドライン違反やインデックス削除の可能性など、Webサイト運営に影響を及ぼす情報が通知されることがあります。
こうしたメッセージを見逃さず、早急に対応することで、検索順位の下落や流入減少といったリスクを最小限に抑えることができます。
Google Search Consoleは、問題が発生してからではなく、常に最新の状態を把握しておくためのモニタリングツールとして、定期的に確認することが非常に重要です。
2.HTMLの改善
HTMLの改善機能では、タイトルやメタディスクリプションが適切に設定されているかを確認できます。
具体的には、titleやmeta descriptionが未記載のページ、重複しているページ、内容が長すぎる・短すぎるページなどを把握できます。titleが記述されていなかったり、titleやmeta descriptionが重複していると、検索エンジンからの評価が下がる可能性があるため、可能な限り修正が必要です。
3.検索アナリティクス
どのようなキーワードでWebサイトが表示されているのか、またどの程度の頻度で表示されているのかを把握し、サイトの強みや弱点を特定できます。
たとえば、「BtoBマーケティング」というキーワードで検索された場合、自社サイトが検索結果にどのくらい表示されているか、クリックされているかを確認できます。また、検索回数が多いキーワードや、それに関連するページの表示回数も把握できます。
特定のキーワードでの検索結果からの自社サイトのクリック数が少ない場合は、そのキーワードの関連コンテンツを強化するなど、今後の方針を決めるための指標として活用できます。
4.サイトへのリンク
外部リンクの状況は、SEOにおけるレピュテーション（外部評価）の重要な指標の1つです。この機能では、外部サイトからのリンク状況を詳細に把握できます。
具体的には、外部リンクの総数や、どのサイトからどのページへリンクが設置されているか などの情報を取得できます。また、リンクに使用されているアンカーテキストの情報も確認できます。
どのような被リンクがあるのか、またどのページへリンクしているのかを把握することで、Webサイトを訪れるユーザーの傾向を分析し、今後のSEO施策の方針を決める際の参考にすることができます。
5.モバイルユーザビリティ
現在はモバイルファーストインデックスが主流となっており、スマートフォンでの閲覧環境が重要視されています。そのため、Google Search Consoleでは、モバイルでの表示や操作性に関する問題を確認できます。
具体的には、以下のような点をチェックできます。
- Webサイトの表示サイズがスマートフォンに適しているか
- フォントサイズが小さすぎて読みにくくないか
- ボタンやCTAが小さすぎたり、タップしにくくないか
- Flashなど、現在使用できない技術が含まれていないか
- コンテンツの幅が適切で、横スクロールが不要か
こうした問題点を改善することで、モバイルユーザーにとって快適なWebサイト環境を提供し、SEOの評価向上につなげることができます。
6.クロールエラー
サイト内で発生したクロールエラーを把握することができます。
Googleの検索エンジンは、まずクローラーと呼ばれる検索ロボットがWebサイトを巡回（クローリング）し、その情報をインデックス登録する仕組みになっています。
しかし、クローラーが正常に巡回できないページは検索結果に表示されません。そのため、クロールエラーが発生したページについて、原因を特定し、適切に対応することが重要です。
主なクロールエラーの原因として、以下のような問題が考えられます。
- CMSの不具合
- サーバー負荷による応答遅延
- robots.txtの設定による意図しないブロック
これらのエラーを確認し、適切な対応をおこなうことで、Webサイトが検索結果に正しく表示されるようになります。
※本記事は、2024年8月のウェビナー配信時点の情報です。
Google Search Console以外のSEOツール
Google Search Console以外にも、さまざまなSEOツールが提供されています。代表的なものとしてAhrefsとSimilarWebがあります。
Ahrefs
Ahrefsは、自社サイトだけでなく競合サイトの被リンク（バックリンク）状況、検索エンジンの上位表示コンテンツ、想定流入キーワード、ソーシャルメディアの反応などが分析できます。競合との比較や詳細な分析に有効です。
出典：Ahrefs
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SimilarWeb
SimilarWebは、Webサイトへアクセスしたユーザーの「トラフィック」や「エンゲージメント」などをデータログとして保存し、目的や状況に応じてそのデータを分析できるWeb解析ツールです。
Google Search Consoleだけでなく、AhrefsやSimilarWebなどのSEOツールを活用することで、より詳しくWebサイトの状態を把握し、効果的な改善が可能になります。これらのツールを適切に組み合わせ、自社サイトの最適化を進めていきましょう。
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