2023年5月のアップデートにより、CMS Hubにコンテンツ承認機能が追加され、コンテンツ担当者はコンテンツ公開までの承認フローをスムーズに構築することができるようになりました。
本記事ではCMS Hubのコンテンツ承認機能で実現できること、承認フロー例を紹介します。
※本機能はウェブサイトページについてはCMS Hub Enterpriseエディションで、ランディングページとブログ記事についてはCMS Hub EnterpriseエディションとMarketing Hub Enterpriseエディションで利用できます。
※2023年7月時点で、コンテンツ承認機能はベータ版です。
CMS Hubにはこれまでコンテンツ公開時の承認機能が実装されていなかった
CMS Hubでは、これまで特定のユーザーがコンテンツを承認して公開する、といった機能がありませんでした。そのため、例えば上長承認を得て公開する、という場合、以下の手順をルール化する必要がありました。
- 担当者が作成したページの「確認用URL」を発行する
- 「確認用URL」をメールやチャットツールで上長(承認者)に展開する
- 上長(承認者)が担当者にOKと連絡し、担当者が公開する
この場合、2と3の確認作業は別のツールを使うため、担当者・承認者ともに運用ルールを完全に把握していないと運用できませんでした。
さらに「確認用URL」を担当者以外が使えることに大きな懸念がありました。「確認用URL」はURLさえ把握していれば、誰でも承認前のコンテンツを確認することができます。そのため、社内メールやチャットツールで渡す場合、公開前のURLが第三者に閲覧されるリスクがありました。
CMS Hubのコンテンツ承認機能で実現できること
今回新たに追加されたCMS Hubのコンテンツ承認機能では次のことができるようになりました。
1.確認者のみに確認用URLを展開できるようになった
HubSpotの管理画面から承認者を選択し、対象の承認者のみに確認用URLを展開できます。このことにより、承認者以外に公開前のコンテンツを閲覧されてしまうリスクを極力抑えられるようになりました。
2.HubSpot内でコンテンツの承認フローを完結できるようになった
コンテンツの承認依頼や承認の通知、変更依頼などがHubSpotから自動で担当者・承認者に届くため、HubSpotのみで承認フローを構築することができるようになりました。
コンテンツ承認機能の設定方法
設定画面から承認機能をONに設定
2023年6月現在、HubSpotのデフォルトの設定では承認機能はOFFになっています。承認機能を利用する場合、始めにHubSpotアカウントで承認機能をONにする必要があります。
- 設定画面から、[ウェブサイト>承認]に移動します。
- コンテンツタイプ別に承認機能を設定します。「承認を設定する」をクリックし、画面に従い承認機能をONにします。
ユーザーに承認権限を付与する
承認機能をONにすると、デフォルトでスーパー管理者には承認権限が付与されます。他のユーザーにコンテンツを承認する権限を付与したい場合、ユーザー権限の設定画面からコンテンツタイプ別に付与することができます。
- 設定画面から、ユーザーの権限編集画面に移動します。
- マーケティングタブ内の[マーケティングアクセス>承認]より、コンテンツタイプ別(ブログ記事・ランディングページ・ウェブサイトページ)に承認権限を付与します。
コンテンツ承認フロー例
実際にコンテンツ承認機能を利用した承認フロー例を紹介します。
①担当者が承認者を選択し承認依頼をおこなう
担当者はコンテンツの編集画面から承認者を選択し、メッセージを記入して承認依頼をおこなうことができます。承認者は最大10人まで指定できます。
②承認者は承認メールからコンテンツを確認し、承認する
承認者にはメールで承認依頼が届くので、メール内リンクからHubSpotへログイン、該当のコンテンツを確認し、問題が無ければ承認します。
③承認されたら、担当者はコンテンツを公開する
承認されると担当者に承認通知が届き、コンテンツのステータスは「承認済み」となり、公開できるようになります。
④修正があれば担当者へ差し戻す
修正事項がある場合、承認者は修正のリクエストを出すことができます。担当者に修正依頼が届くので、担当者は内容を確認し修正、再び承認依頼をおこないます。
また、CMS Hubのコラボレーションバーのコメント機能を使うことで、編集画面内で修正事項をまとめてフィードバック、その後の対応のやり取りができます。
今後のアップデートで実装してほしい機能
以上のように、CMS Hubのコンテンツ承認機能を利用することで承認フローを設定できました。2023年6月時点でこの機能はベータ版ではありますが、一通り検証してみて、次のような機能があるとより活用できるのではと感じた部分を挙げます。
①承認者へリマインドメールを送信できるようにしたい
承認者には複数の担当者からコンテンツの確認依頼が来ることが予想されますが、現状の仕様では承認メールは1度しか送信されず、他の多くのメールに埋もれて見逃してしまうこともあります。承認者へ再度承認メールを送るには、担当者はコンテンツの編集画面から承認依頼を取り消し、再度承認者を選択して承認依頼をおこなわなければなりません。このような手間を省くために、何日間か承認や差し戻しがなければ承認者へリマインドメールを自動送信したり、担当者が任意のタイミングで承認者へリマインドメールを送信したりできるようになると、より使いやすくなると思います。
②段階的に承認者を指定できるようにしたい
はじめに主任のAさんに確認してもらい、次に課長のBさんに依頼する、といったように段階的に承認が必要な組織は多いのではないでしょうか。現状では複数人に対して承認を出すことはできますが、段階的な承認者の指定はできません。段階承認ができるようになると、大規模な組織での活用が拡がりそうです。
③承認フローを管理できるようにしたい
現状の仕様では、確認を依頼する際に毎回承認者を指定する必要があります。大きな組織にとっては、承認フローをあらかじめ決めて設定しておきたい、という意見は多いと思います。承認フローをあらかじめ登録し、担当者はフローを選択するだけで設定できるようになれば、担当者の手間を減らすことができます。
まとめ
CMS Hubにコンテンツ承認機能が追加されたことで、担当者はコンテンツ公開までのフローをスムーズに構築できるようになりました。また、公開前の第三者による閲覧リスクも格段に抑えることができます。
現時点ではシンプルな承認フローをHubSpot内で設定できるようになりました。また今後のアップデートで上記のような機能が実装されると非常に使いやすくなると感じています。コンテンツ承認機能のアップデートに大いに期待しています!