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「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」の違いとは?

作成者: タービン・インタラクティブ|2017年11月14日

マーケティングには、「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」の2つの方法があることをご存知でしょうか。旧来の方法がアウトバウンド、近年注目を集めているのがインバウンドと呼ばれる手法です。

今回の記事では、インバウンドとアウトバウンド双方のメリット・デメリットを比較するとともに、近年インバウンドマーケティングがなぜ注目を集めているか、インバウンドマーケティングを成功させる方法論についてもご紹介していきます。

 

アウトバウンドマーケティングは「旧マーケティング」

アウトバウンドマーケティングは、いわば旧来型のマーケティング手法であると言えます。大量の広告をテレビや新聞、雑誌や広告看板に出稿して消費者の認知度を高めるやり方です。企業から消費者に一方的に働きかけるこの方法は「マス・マーケティング」と言ってもよいでしょう。企業から外に向けて行う、ということで外向き=アウトバウンドと言われています。

しかし昨今、このアウトバウンドマーケティングの効果が薄れつつあります。もちろん全く効果がないというわけではありませんが、インターネットの普及で引きつけられるターゲット層がかなり限られてきているのです。成熟した消費者は、ただ広告を見て認知しただけでは購買行動へ移りません。セールスプロモーションの世界では、よく「AIDMA」という概念が用いられます。Attention(注意)→Interest(興味・関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買行動)というプロセスでモノを買う、というモデルです。しかし、AIDMAもデジタルマーケティング、特にBtoBビジネスにおけるデジタルマーケティングには適用できない部分が大きいのです。

その理由の一つが、インターネットによってユーザー側がいくらでも情報を得られるようになったことでしょう。必要であればユーザーは自分からAttentionからInterestに至るまでに情報を探しますし、InterestからDesireに至るまでにも他社製品を含めて情報を探し、比較検討するでしょう。

またプッシュ型のマーケティング施策に対して、消費者が正直「うんざり」するようになってきているとも言えます。YouTubeやSNSで自分に関係のない広告が頻繁に出てイライラしたことがある人は多いでしょう。人々は情報を求めているのであり、広告を求めているわけではないのです。

こうしたアウトバウンドマーケティングの問題点は、そのままインバウンドマーケティングが求められる理由にもなっています。インバウンドマーケティングは、あくまでも受け手一人一人が主体であり、その人のニーズに合わせて情報を提供し、課題の解決を促す手法なのです。

 

インバウンドマーケティングが今の時代になぜ重要か

インバウンドマーケティングは、望めばいくらでも情報を得られるこのインターネット時代にふさわしいマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングの大きな特徴の一つが、ユーザーに広告を一方的に流すのではなく、「見つけてもらう」という点です。アウトバウンドマーケティングが「プッシュ型」なのに対し、インバウンドマーケティングは「プル型」です。

そこでカギとなるのは、ユーザーの課題や悩みに寄り添うような情報提供です。ターゲットとする顧客層(ペルソナ)を設計し、それに合うようなブログや動画などのコンテンツを作成し、Googleなどの検索エンジンに好かれるようなSEO(検索エンジン最適化)対策を講じて訪問者の増加を狙います。そこから、資料請求や問い合わせへつなげ、ナーチャリング(育成)し、購買へ導いていく流れです。

アウトバウンドマーケティングである程度の効果を上げるためには、膨大な予算を投入しなければなりません。資金力のある大企業が圧倒的に有利だったのです。

しかしインバウンドマーケティングは、アウトバウンドマーケティングよりもずっと低いコストで高い効果を上げることが可能です。予算数十万、メンバー数人からでも始められます。予算の少ない中小企業でも、商品に力があって適切なコンテンツを用意できれば、驚くほどの集客を達成することもできるのです。お金よりも「知恵・工夫」が求められると言えるでしょう。

まずはトライアル的に小さく始めて効果を検証することも可能です。最近では、クラウドソーシングやマーケティングエージェンシー経由でライティングやブログ運営自体を外注することも容易になっています。中小企業がインバウンドマーケティングに取り組みやすい素地が整いつつあるのです。

HubSpotの提唱するインバウンドマーケティング

マーケティングオートメーション「HubSpot(ハブスポット)」は、このインバウンドマーケティングの概念に基づき設計されたプラットフォームでありマーケティングツールです。

HubSpotでは、インバウンドマーケティングのプロセスを4つのアクション(Attract、Convert、Close、Delight)に分けており、そのための機能を全て備えています。コンテンツを作成し、顧客の興味・関心に合わせてパーソナライズされた形で提供し、長期的な視野を持って見込み客をナーチャリングし、長く関係を維持する「ライフサイクルマーケティング」を実施するために作られたツールなのです。

「Attract」とは、見つけてもらう(集客)段階です。ブログやSNSなどを通して情報を発信し、訪問者を増やします。次の「Convert」とは「転換」という意味ですが、これは訪問者を見込み客へ「転換」することを指しています。CTA(Call To Action)やランディングページからメールアドレスなどのデータを登録してもらい、HubSpot内のデータベースに顧客データを追加します。

その後メールマガジンやオンラインセミナー、動画などのナーチャリングを進めて興味・関心レベルを高めたところに営業が商談を行って「Close」(成約)へつなげます。その後、既存顧客に対して「Delight」(喜び、満足)を与えるためマーケティング施策を続け、口コミを喚起するとともにアップセルやクロスセルを狙います。新規顧客よりも、既存顧客との長い付き合いの維持を重視するのがインバウンドマーケティングです。

「インバウンドマーケティングの戦略が分からない」という場合は、まずこれら4つのプロセスに分けて、それぞれ目標や施策を考えるとよいでしょう。

参考:https://www.hubspot.jp/inbound-marketing

アウトバウンド・インバウンドを適材適所で組み合わせる

インバウンドマーケティングをご紹介するために、先ほどアウトバウンドマーケティングの弱点を強調する形でご説明しました。しかし、アウトバウンドマーケティングが全く必要ではない、というわけでもありません。インバウンドマーケティングの弱点を補える長所を持っているからです。

その長所とは、集客に即効性があること。Web広告やリスティング広告の出稿、展示会や訪問営業などの手法で認知度を高めると、効率が悪いとしてもそこから問い合わせや購買へつながることはありますし、即効性があります。

それに対してインバウンドマーケティングは、効果が出るまでに少し時間がかかります。Googleの検索エンジンがサイトの存在を認識し、検索順位が上がってくるのに数カ月から半年かかるとされています。企業のオウンドメディアでも、最初は勢いよく立ち上がったものの社内で「三カ月やっても効果が出ない」「予算を割く意味がない」という反対意見にあい、途中で頓挫したという例は数多く存在します。しかし、それを乗り越えじっくり本腰を入れて取り組むことができればアウトバウンドマーケティングよりも投資対効果は明らかに高く、企業にとって永続的な資産になりうるのです。

こうしたインバウンドマーケティングの遅効性という弱点を補うためにも、即効性のあるアウトバウンドマーケティングを組み合わせるのは効果的です。両方を組み合わせて、自社の商品を売るのに最適な戦略を練ることです。

 

インバウンドマーケティングを深く理解するために

インバウンドマーケティングで成果を上げるためには、お金よりも戦略が必要です。場合によっては、アウトバウンドマーケティングの手法も取り入れつつ、集客やナーチャリングを進めていくことになります。