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第39回:スルーする技術

作成者: タービン・インタラクティブ|2010年3月3日

「あっさりスルーされちゃってさ・・。」「すんません、スルーしてました。」

最近よく使われる言葉ですが、この現代語の意味をご存じでしょうか?正解は「無視する」「気にしない」。英語の「through」の本来の意味は「・・・を通り抜けて」。ドライブスルーなどのスルーですが、これが転じて「聞き流す」になり、さらに「無視する」になったようです。

最近のコミュニケーション業界には、「スルー力(するーりょく)」という言葉が登場しました。インターネットを中心とした情報技術の進化によって、私たちが取得可能な情報流通量は10年前の500倍になっていると言われます。受動的に浴びている情報の量も、相当量に増えています。その中で、正しい判断に必要な情報を手に入れるためには、情報を探しにいく技術と同様に、「不必要な情報をスピーディーに無視する力」、つまり「高いスルー力」を身につけるかがポイントになるという訳です。

いかがでしょう?皆さんの生活スタイルを振り返ってみても、なるほどと思われるのではないでしょうか。

企業は、コミュニケーション相手がこのような「スルー力」を身につけた人々であることを意識しなくてはいけません。私たちは今、自分に関係ないと判断したテレビコマーシャルをスキップし、雑誌の広告ページを一気にとばし、Web上の広告バナーが目に入らないように目線を動かす技術を身につけて、自分が選択すべき情報を手に入れることで、自分の考え方をつくりあげているのです。

それでは、スルーされない企業になるにはどうしたらよいのでしょう?

それには、スルーされない人になる方法が参考になります。クラスで人気者になる「面白い人」、会話のイニシアチブをとる「話を聞いてもらえる人」には共通点があるものです。

・自分の話ばかりせず、周りの人に気を配る人
・その場にいる人が興味を持つ言葉で話す人
・つねにハッピーな気分を分け与えている人
・周りの人に、心から興味を持っている人

企業のメッセージは「広告」から「情報」へ。自社のメッセージを伝えることに終始せず、消費者の声に耳を傾け、その興味にあわせた話法やサービスを提供。消費者が楽しくなるようなコミュニケーションを意識し研究する必要があると思うのです。そのためには、企業自身が消費者に心から興味をもつことが大切なのではないでしょうか。

(2010/03/03 中部経済新聞掲載)